GREXITにBREXIT

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ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる今回はGREXITやBREXITの話。どちらも知っている人にとっては、たいした内容ではありません。と逃げを打っておいて…、

GREXITとはGRプラスEXIT、グレて逃げるわけじゃないけどグレジットとはこれ如何? こちらはGREEKが退出するという造語で、要するにギリシアがユーロ圏から脱退するということ。じゃ、BREXITは? 実はこっちの方も現実味を帯びてきました。

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ギリシアは既に本サイトでも触れたように

公務員の数が国民の3割以上で異様に多い、おまけに給料は民間の3倍!、
国有鉄道の歳入は1億ユーロなのに、諸経費3億ユーロ、職員年俸4億ユーロ(つまり巨大赤字)、
等々(出典はマイケル・ルイス「ブーメラン」)

というトンデモナイことが当たり前の国。結果、経済が破綻したため国の借金が全く払えなくなり、つい先日は民間企業の年金基金でさえ国庫で管理する(ムシリ盗る)という暴挙に出ています。

wsjGRexit15前政権は財政再建を目指して努力する、借金はちゃんと払う、と世界に約束しましたが、それは公務員等の数や給料を減らす等となりますから、国内騒然。銀行預金の引き出し殺到で混乱状態。そういう状況を反映してか、選挙では右派がどんどん票を伸ばし、ギリシア国内は愛国主義的雰囲気になっています。

その前政権を批判して成立した現政権はケツまくりを仄めかしたり、昔のナチスを持ち出してドイツを脅したりで、ユーロ諸国からの信頼は地に落ちてきました。問題はいつユーロを脱退するのかということ。これをGREXITと呼んだのはゴールドマンサックスですが、いつもながら用語作りがお上手だこと。まぁここまでは世界も折り込み済み。

ところが、びっくりするような話がもう1つ。今度は英国から飛び出してきました。それがBREXIT。つまり、英国もユーロから脱退する可能性があるみたい。

先の選挙で英国のキャメロン政権は選挙で勝ちたいが故なのか、「英国がEU加盟国であり続けることの是非を問う国民投票の2017年末までの実施」を約束。5月の選挙では政権側の勝利に終わったため(スコットランド国民党の大躍進というおまけつき)、この国民投票が実施される見込みとなりました。

英国は経済圏としてはユーロの一員でも通貨はポンドのまま。だから、ユーロから脱退するようなことになってもギリシアのような通貨絡みのゴタゴタはありません。だからといって経済的な影響はないどころか、その影響の大きさはギリシアの比ではありません。だって、英国がユーロでなくなればロンドンの金融シティに集まるユーロ資金は行き場を失います。

スイスフランが急に暴騰したり、ドイツ国債の金利が急にアップダウンしたり、最近何かと騒がしいヨーロッパ。東洋の島国で株価が大幅アップなんて能天気に喜んでいると、大変なことが起きた時にまた逃げ遅れてカモにされてしまいそうな、そんな感じ。この稿、自戒を込めて記します。