Luzern forever
2025/11/28
ルツェルン音楽祭レポートのあと書き。
来年の予定を前倒しして訪れたスイスのルツェルン。今後の世界状勢は読めませんし、こちらの健康状態もどうなることやら。だから行ける時に行こう、ということで臨んだ今回のスイス行き。振り返ってみると大満足。最後に落ち穂拾いしておきます。
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ルツェルン音楽祭は噂通りで素晴らしいものでした。著名なオーケストラやソリストはもとより、新人のデビューコンサートも面白かったし、街中で開催されたフォルクローレ・ジャズ・ポップスの演奏も良かった。ザルツブルク音楽祭には行ったことがありませんが、オペラのないルツェルンの方が自分たちには合っていました(セリフがわからないとオペラは楽しめないから)。
どの演奏も聴き応えあり。とくにベルリンフィルとウィーンフィルは圧倒的で、まじかに聴くと微細な極小音から凄まじい音圧を感じるほどの音まで変幻自在で素晴らしい。マーラーチェンバーオーケストラもなかなか。それに比べてコンセルトヘボーは現代曲の解釈に迷いがあるのか少しバランスが悪かったようで残念(個人的感想です、念のため)。
ソリストで興味深かったのは、ヴィオラのタベア・ツィマーマンさん。今回の音楽祭のメイン演奏者(ARTISTE ETOILE)で、ヴィオラってあんなに音域が広くて多彩で豊かに響く音を出すのかと驚きました。ハープ・フルート・ティンパニー奏者たちと共に物語のように展開した舞台にも引き込まれました。

Tabea Zimmermann(viora) and Mahler Chamber Orchestra (写真はLuzern Music fes.のInstagramより)
指揮者はキリル・ペトレンコさんなど優れた人がぞくぞく登場する中で、とくに興味を惹いたのはヤニック・ネゼ・セガンさん。ルツェルン フェスティバル オーケストラを率いた演奏は、リハーサルも本番も素晴らしいパフォーマンスでした。
中でもリハーサルは印象的。最初に演奏者に曲のイメージとして「深い森に行って狩をするような感じでやってみよう。狩をしたことは僕はないけどね。」と笑いを取りつつ語りかけてスタート。第2楽章を通しで演奏した後「素晴らしい。譜面通りきれいに演奏できている。でも、狩の感じをユーモアのセンスで出せないかな?」と問いかけて、指揮者のイメージをオーケストラ全体で共有。次は通しではなく何回か中断しながら演奏し、中断の都度、指揮者の思いを伝えて演奏者の演奏を引っ張っていました。
その翌日の本番では、指揮者と演奏者が一体となって素晴らしい演奏を披露。オーケストラの演奏者1人1人の能力を最大限引き出してまとめ上げ、演奏のレヴェルを別次元に引き上げる指揮者なのかなと思いました。セガンさん、今年末12月31日はウィーンフィルの大晦日コンサートを指揮する予定など売れっ子ですが、その人気の秘密をかいま見たような気がしました。

Yannick Nezet-Seguin(conductor) , Seong-Jin Cho(piano)(写真はLuzern Music fes.のInstagramより)
スイス旅行と前後してヨーロッパ内の他の音楽祭をチェックしてみたところ、ヴェルビエ(スイス)、アイゼンシュタット(オーストリア)、バイロイト、ブレゲンツ、ライプツッヒ、バーデンバーデン(いずれもドイツ)等々、興味深い処がたくさんあることを知りました。
ヴェルビエはピアニストの藤田真央さんが常連のようで面白そうですが、サンモリッツからのアクセスが大変そう。アイゼンシュタットや東欧方面はまだ日本ではあまり知られていないようで、これまた面白そう。地図を見ながら行程を考えるだけで楽しくなってきます。
一方で、あれこれ調べている中でmedici.tvの存在を知りました。クラシックに限らずジャズやバレエ、演劇までオンライン視聴できるサイトですが、ライブあり名演奏のアーカイヴありで内容盛り沢山。ちなみに今年のヴェルビエはかなりの部分がここで視聴できました。演奏を聴くだけならこのサイトで十分かもしれません。medici.tv はサブスクですが、ときどき50%引、30%引の設定もあります。一部無料視聴ありなので登録しておくと便利ですよ。
それにしてもスイスの物価にはまいりました。為替も円安なのでダブルパンチ。たった2週間の滞在だったのに帰国すると金銭感覚がしばらくおかしくなって・・・・・。日本の安さに喜ぶインバウンドの気持ちが推し量れます(笑)。
海外に行かなくても本物の演奏を聴くことは可能です。でも、彼の地の環境に身を置いて初めてわかることもあり、やはりコト(経験)はあらまほしけり。音楽鑑賞どっぷりの2週間は余韻が残る忘れ難い思い出になった次第です。これにてルツェルン旅行記はおしまい。
