Petrenco Petrenco & Mutter

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ペトレンコさんといえば、ベルリンフィルの指揮者。ところが著名楽団の指揮者にもう1人、ペトレンコさんがいます。音楽知識の欠けている私たち夫婦の笑い話を1つ。

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ルツェルン音楽祭の8月24日は、ロンドンのロイヤルフィルハーモニーとアンネ=ゾフィー・ムターさん(ヴァイオリン)の共演でした。こちらはムターさん目当てだったので指揮者はノーチェック、開演後に指揮者の名前を見るとペトレンコ。あらペトレンコさん、ベルリンフィル以外にも指揮棒振るのか、そんなことを連れ合いに云うと、髭がないよ、とのこと。最近髭を剃ったのかな等と思いつつ顔を見るとどうも違う。

調べてみると、ロンドンのロイヤルフィルはVasily Petrenco(ワシリー・ペトレンコ)で、ベルリンフィルのKirill Petrenco(キリル ペトレンコ)とは別人でした。あらら。無知でした。

ワシリー・ペトレンコさんはサンクトペテルブルク生まれでレニングラード音楽院出身。ベルリンフィル等の客演指揮もやっていますが、現在はロイヤルフィルの音楽監督5年目という経歴でなかなかのもの。実際、その指揮振りは堂々としたもので、今回の曲目はムターさんのために彼が特別に編曲したものらしい。

その曲目はコルンボルドからコルサコフそしてジョン・ウィリアムズの映画音楽までいろいろ。ところで、ジョン・ウィリアムズさんの楽曲を聴いていると未来に残る20世紀の音楽は映画音楽だなと思わざるを得ませんね〜。

一般にオーケストラは数百年前の曲から現代曲までいろいろ演奏しますが、バロックから20世紀初頭の、いわゆるクラシック音楽を取り上げることが多い。

でもクラシックとは何か、いつの時点から過去に遡るのか。時間の経過で現代音楽もクラシックになっていくというのが自然の摂理。要するにクラシックというカテゴリー分けは時間の経過に耐えられない。20世紀の映画音楽の中でもジョン・ウィリアムズの音楽はクラシックとして残っていくのではないか、と思ってしまいます。

さらにいえば、ラフマニノフやガーシュインなどは私にはまるでジャズみたい。アドリヴではないにしてもジャズ畑の演奏家がクラシックな楽曲の演奏をする方が面白く聴けることも多い。ここ数年小曽根真さんのジャズピアノを聴くにつけ尚更そう思います。彼曰く、自分たちのクラシック演奏はジャズプレーヤーがどういう風に聴いているかということの現れだとのことですが、なるほどと納得する次第です。余談でした。

それにしてもアンネ=ゾフィー・ムターさんは圧倒的な貫禄と余裕のヴァイオリンで素晴らしい。こちらが前の方の席だったせいか、彼女のオーラがそのままビシバシ伝わってくる感じで感動的でした。

当日の1シーン、写真の出典はルツェルン音楽祭のInstagram

ムターさん、オーケストラのメンバーに何度も目配りしながら「ちゃんとついてきてね」とか「大丈夫、大丈夫」と目力で伝えているようで、まるで影の指揮者みたいな雰囲気が面白い(勝手な解釈です、念のため)。

また、ルツェルン音楽祭では例外的にムターさんは演奏内容を曲間に解説していましたが(ドイツ語)、最前列に座っていたこどもたちに「後でハリーポッターするから待っててね」と茶目っ気たっぷりに語りかけていたのが印象的。

気になったのはアンコールの中に「シンドラーのリスト」をさらりと入れたこと。昨今のイスラエルの残虐行為に対する生粋のドイツ人ヴァイオリストによる批判なのかどうか分かりませんが、私はこれを聴きながらゾクゾクッとしました。

ということで2人のペトレンコさんとムターさんの話でした。(写真はすべてルツェルン音楽祭のInstagramから)