メガソーラーは話半分です。その理由は?

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rf141107昨今新聞やテレビでも報じられるように、全国各地でメガソーラーの破綻が始まっています。いろいろな理由があるみたいですが、最近では国が料金の見直しを含む改定作業に入ったために宙ぶらりんになる関係業者が大勢出てきたことが一番の原因。

メガソーラーがなぜダメなのか。本質的な欠陥については既に本サイトで説明してきた通り。メガソーラー批判をすると、脱原発へのブレーキだ等というトンチンカンな意見が出てくると困るので、今回はメガソーラーに対する料金設定が過大であることを説明しておきましょう。

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まず、復習。なぜメガソーラーがアウトなのか。その理由を煎じ詰めれば、


メガソーラーには、それに応じた送配電設備が必要となる。言い換えれば、
発電設備だけのメガソーラーは既存サービスの代替にはなり得ない

ということ。私の言い分については過去の投稿をお読み下さい。

メガソーラーは発想がダメ 2011/5/24
改めて メガソーラーがダメな訳 2013/12/24
ソーラー会社、相次いで破綻あるいは撤退 2012/10/29

一般家庭や集合住宅の屋根にソーラー発電装置を設置する場合を考えてみましょう。屋根上ソーラーの場合には自家消費が第一で、使い切れなかった分をご近所の送電網へ逆潮流させ他の人の用に供することができます。つまり、大規模な送配電設備は使わず、変電設備も送電制御も要りません。既存の設備をそのまま活用するだけなので、その負担は無視できるのです。

rf141107c一方、メガソーラーはどうか。送配電設備まで設けているメガソーラーはあるのでしょうか。電力需要に対応するために夜間のバックアップシステムを設けているメガソーラーはあるのでしょうか。発電だけの設備を大規模で導入すると、対象地域の電力サービスに混乱を招くだけ。つまり、送配電を考慮していないが故にメガソーラーは既存の電力サービスの代替にはなり得ないのです。

お金の面から考えてみましょう。送電線や送配電設備がないメガソーラーに屋根上ソーラーと同じ料金を払うのは奇妙です。だって送配電コストを考慮するなら、その分を差し引いた代金でないと公平性を欠くから。なのに、国はそんな過大な料金をメガソーラーに適用してしまいました。ここに今回の問題の根が潜んでいます。

結果はどうなったか。こりゃうまく儲けられるゾと気付いた人たちが殺到し、全国各地でメガソーラー計画が勃発。真摯に脱原発を目指した計画もあるのでしょうが、3.11の原発事故と国の制度欠陥を利用した人も多かったのではないでしょうか。


rf141107dたとえば、数日前テレビでメガソーラーに大金を投資したという某農家が紹介されていました。曰く、国の認定はすぐにもらった、銀行からお金を借りて設備は作った、でも電力会社の了承が下りない、どうしたらいいんだという嘆きです。

その中で、ふだんなら100万円でもなかなか貸さない銀行がメガソーラーに2億円を即融資したとの話が出ていました。銀行がホイホイお金を貸す時はヤバイと何故思わなかったのか。80年代末期のバブルの経験はなかったのでしょうか。あまりに安直です。

また、滋賀県のメガソーラーで銅線が盗まれるという事件が多発しているそうな。山間部の、ふだんは誰もいない処にある施設ですから盗みに入るのは簡単です。一番悪いのは窃盗犯ですが、不審者が簡単に近寄れるままに放置し、それ相応の保安設備・管理を欠いた業者も失格。国の制度欠陥の穴を狙って儲けようと思っても、そうは問屋は卸してくれません。要するに、発電設備にはそれなりにお金がかかるのです。


今後さらにメガソーラー破綻やメガソーラー倒産という話がテレビや新聞を賑わすことでしょう。制度欠陥を利用して金儲けしようとして、その結果破綻しても皆の同情は買えません。国の制度改定でメガソーラーに投資した資金が無駄になるというのなら、パネルを一般家庭や集合住宅や公共施設に貸し出して新たな商売を考えてみたらどうでしょうか。

要するに、メガソーラーはサービス内容でみると話半分。送配電設備がなければ電力サービスの代替にはなりません。特別な送配電設備を必要としない個別住宅でのソーラー発電こそ、私たちが実現すべきソーラー発電なのです。
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