マダムバタフライ

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先月兵庫県立芸術文化センターへ。佐渡裕さん指揮、兵庫芸術文化センター管弦楽団演奏でオペラ「蝶々夫人」を観に行くためです。ありきたりな感想ですが、とっても素晴らしく日本人を主人公に設定したオペラの訴求性を如何なく発揮した内容でした。

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蝶々夫人のストーリーは語るまでもありませんが、プッチーニの三大オペラの1つ(他は「ボエーム」と「トスカ」)。「ボエーム」は昨年京都で観たので2つ観たことになります。

以前触れたように松本のOMFでオペラの面白さに気づき、その後機会あるごとにオペラに出かけていますが、今回のはその中でもピカ一。

もともとこの演目は兵庫県立芸術文化センターの十八番(おはこ)らしく、演技と演奏がパーフェクトに一体化して飽きさせません。特記すべきは、オペラでもコンサートでも緊張が続くと疲れることがままあるのですが、このオペラは最初から最後までテンション高く観劇できました。とくに、蝶々さん役の迫田美帆さん(藤原歌劇団)がこの上なし!

ところで、個人的に面白かったことが2つ。一つは長崎のグラバー邸が蝶々夫人の住居ではなかったこと、もう1つはオペラの中で使われる歌についての私の勘違いです。

蝶々夫人の舞台は船舶の行き来を眺めることができる丘の上。小学校の修学旅行でそのグラバー邸へ。当時の記憶が曖昧ですが、あの住居は蝶々夫人と関係が深いと説明されたのか、てっきり蝶々夫人が住んでいたものだと思い込んでいました。

 

今回オペラを観てあれこれ調べてみると、戦後グラバー亭を接収した進駐軍将校とその夫人がオペラに出てくるような家だからという理由でグラバー邸をマダム・バタフライ・ハウスと名付けたのが始まりらしい。あらら。実際に蝶々夫人が住んでいたという証拠はないのだそうです(というか、蝶々夫人そのものがフィクション)。小学生以来の知識の1つが崩壊しましたが、この手の間違いは結構ありそう。

もう1つは二幕目に出てくるアリア「ある晴れた日に」について。有名な歌なのでご存じの方も多いでしょうが、不覚にも私は観覧中に「あぁ、慕情だ」と思ってしまいました。メロディが映画「慕情」のテーマソングのように聞こえたからです。



チェックしてみると、アカデミー作曲賞をとった「慕情」の主題歌は「ある晴れた日に」を参考にしたとのこと。どうりで勘違いするはず。でも、映画は1955年、オペラの初演は1904年なので時間軸を考えれば、どちらが本歌か明らかでした。これまた、あらら。

そんなこんなでオペラ蝶々夫人を堪能した盛夏のひととき。ホンマに暑いですね〜。ご自愛ください。

当日のカーテンコール。(24/07/17)