初めて知った オペラの愉しみ

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いやぁ驚いた。オペラがこんなに面白いなんて、人生66年目にして初めて知りました。今までヨーロッパで何回かオペラに行ったことはありましたが、歌唱の素晴らしさは感じるものの歌詞はチンプンカンプン。そんなこちらでも今回松本で観た「フィガロの結婚」には大感激。

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今回のオペラを演奏したのはサイトウ・キネン・オーケストラ。ご存じ、小澤征爾さんが師の名前をつけて結成した楽団。『サイトウ・キネン・フェスティバル松本』と称していた音楽祭が現在は『セイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF)』になっています。コロナ禍で2年開けなかったから、今年は3年ぶりの開催です。

サイトウキネンは、一度は行ってみたいと思っていた音楽祭。松本にある馴染みの雑貨店「陶片木」の店主が以前から「面白いよ〜。是非どうぞ」としきりに勧めてくれましたが、なかなか日程が合わず。でも、今年はなんとかオペラとコンサートのチケットが取れました。

白状すると、こちらオペラはチンプンカンプン。ウィーンのオペラ座、ヴェローナの野外アリーナなどで鑑賞し、歌声の素晴らしさと迫力には感動したものの、肝心の歌詞が全く分からない。筋をある程度調べてから鑑賞しても、今何と言っているのかは想像するしかない。そもそもオペラについての基礎知識もないから楽しみ処がわからないという有様。

そういうこともあり、「またチンプンカンプンかな〜」と考え、たいして期待せずに今回臨んだところ、びっくりするほど大感激。歌詞はイタリア語でも舞台の両脇に日本語訳が出るので筋が追えるのがまずマル。出演者の歌唱もサイトウ・キネン・オーケストラの演奏も素晴らしい。

とりわけ面白かったのは、セリフの絶妙なやりとり! あるシーンで3人が歌っているとしたら、男性が「これからいっしょに楽しもう」と歌うのに対し、対する女性は「あなたなんかとはイヤよ」と返し、随伴者は「やっかいなことになってきた・・・」(概意)というのが、折り重なるように歌われます。

今まで私は何を見てきたのでしょうね。これは字幕で判明したわけですが、ハモルように折り重ねて歌わる歌に登場人物それぞれの(相反する)心情まで表現されていたのか〜と了解した次第。個人的には大発見。これがオペラの醍醐味なんでしょうか。

いつのまにか舞台にのめり込み、幕間を挟んで3時間半の演目があっという間に終わってしまいました。個人的には「フィガロの結婚」の序曲のメロディが大好きなので、エンドロール場面かアンコールで演奏して欲しかったのですが、それは詮無きこと。

カーテンコールではサイトウ・キネン・オーケストラを指揮した沖澤のどかさんも登場して大喝采を受けていました。ちなみに沖澤さんは、小澤征爾が優勝して世界的指揮者への第1歩を踏み出したブザンソン国際指揮者コンクールで2019年に優勝した人。1987年生まれの新進気鋭の指揮者です。「オペラとシンフォニーは指揮者の両輪」というのがカラヤンや小澤征爾の持論とのことなので、これからの活躍が楽しみです。

今回のオペラがあまりにも楽しかったので、来年夏も松本フェスティバルに行こうと連れ合いと話していたら、ちょうど11月にハンガリー国立歌劇場の「魔笛」が滋賀県でも開催されることを知り、そのチケットをゲットしたところです。


蛇足ながらチケットに関して。今回の「フィガロの結婚」、インターネットでの発売開始当日、最初15分間はネットサイトに繋がらず。やっと繋がったと思うと後ろの方の席しか残っておらず、それをゲットしました。

この件、地元の通の人に聞くと、とりあえずチケットを押さえるが決済しないという人がそれなりにいて、券の再売り出しが常態化しているらしい。だから1週間前でも買えることがありますよとのことでしたが、宿を取らなければならない身からすれば、なかなか難しい。