ワクチンの効果は明らか

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昨年11月9日、「ファイザー社と BioNTech 社は、ワクチン候補である BNT162b2 が、ワクチン接種前に SARS-CoV-2 に感染したことのない参加者における COVID-19 の予防効果を示した」と発表しました(ファイザー コミナティの臨床開発プログラムより)」。約1年前の話。
その後すぐに世界中で緊急認可され接種が進められた結果、期待以上の効果が実証されたため、各国では未接種者に対する行動制限を打ち出してきました。一方で、いまだにワクチン接種には効果がないと云う人が後を絶ちません。事実を認めると何か不都合でもあるのか、そもそも科学的な理解力が不足しているのか。

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先にシンガポールとイスラエルでのワクチン接種の実情を紹介しました。日本では多くがファイザー社のデータを示すのみで自身のデータを提示していない中、いくつかの自治体からワクチンの接種の有無と感染予防や重症化・死亡例の違いを説明する所がぼつぼつ出始めてきました(香川県、広島県など)。

たとえば、香川県では8月の感染者について接種の有無で94.4%の減少効果があったことを示しています。また、広島県では、ワクチン2回接種者について「濃厚接触でも感染は三分の二減少」したことを報告しています。いずれも、シンガポールやイスラエルのデータと同じく、「ワクチンに効果あり」ということを明快に示しています。

上記だけでは信用がないかもしれませんので、その道の専門書で読みやすいものを1つ紹介しておきましょう。宮坂昌之さんの『新型コロナワクチン 本当の「真実」』(講談社 現代新書 2021)がそれです。

宮坂さんの『新型コロナ 7つの謎』(講談社 ブルーバックス 2020年)は既に本サイトで取り上げていますが、今回のはワクチンに関するもの。

専門的な箇所もありますが(読み飛ばしても大丈夫)、ワクチンの内容や効果などを理解するのに有用です。あまりにも速いワクチン開発に宮坂さんは当初懐疑的でしたが、世界中から集まってきた実証例のデータからワクチンの効果を確認できたとして接種を薦めています。

一方で、現実に起きていることを見ようとしない学者や医者がなんと多いことか。根拠無くワクチンは危険だと主張する反ワクチン主義者は論外ですが、もっともらしい、でも科学的には奇妙で間違った理屈でワクチン接種に反対する人たちもいます。

宮坂さんもそんな状況を問題視し、本では何人か取り上げて批判しています。遡上に上がっているのは、近藤誠氏(がんもどきで有名になった慶應病院医師)、宮沢孝幸氏(京大ウイルス研)、岡田晴恵氏(白鴎大、モーニングショー登場)、内海聡氏(東洋医学)。この中の誰かがあなたの情報源だとしたら、宮沢本をご参照下さい。誰がどう間違っているのかよくわかるはず。

宮坂本には挙がっていませんが、個人的には江部康二氏(医者、糖質制限)にはがっかり。日頃エビデンスが大切と言っていたのに、ワクチンに関してはエビデンスのない話を取り上げて反ワクチンを薦めるのはいったいなぜか。これでは糖質制限の話の信憑性すら瓦解しかねない。とっても残念至極。(蛇足ですが、名簿によると宮坂さんと江部さんは京大医学部で一年違い)