隠される?死亡者数

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感染死亡者が減り続ける新型コロナ禍。でも、国や新聞テレビは変異株がどうのこうの等と危機感を演出しています。一方で、海外選手の来日が困難な中でオリンピックの開催を未だに諦めないのも不可解。いったい関係者は感染状況をどう考えているのか、私にはさっぱりわかりません。

データを見ると感染者数は増えているようですが、死亡者は明らかに減。先日来お伝えしてきたように、いくら感染しても重症化しなかったり死亡しなければいいと割り切ってしまれば、感染者数の多寡に拘泥する必要はありません。

興味深いことに、コロナだけでなく国民全体の死亡者が昨年は大幅に減。理由はいろいろあるでしょうが、コロナへの警戒や予防が他の疾病の死亡者を減らしていると考えるのが妥当な感じ。

その中で、厚労省は昨年末から毎年毎月公表する国民全体の死亡者数(人口動態 概数)の発表を取り止めてしまいました。その理由は後で紹介しますが、新型コロナの蔓延で国民全体の死亡数が(増えているのではなく)減っている事実をあまり知られたくないのか、とこちらは訝しく思う次第。以下データを用いて整理しておきましょう。

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まず、新型コロナの感染者数。以下、統計データは東洋経済新聞社のサイトを参照しています(いつも通り)。

毎日のように感染者の話が新聞テレビを賑わせていますが、東京大阪などの大都市以外ではそれほど増えているわけではありません。おまけに検査体制が充実してきたので感染を捕捉しやすくなったというのもあるでしょう。それでも、1月のピークよりもずっと少なめに推移しています。

次に重症化。重症者の数は感染者の一定数に比例しますので増えています。でも、最近の感染者の増加が若年層であり、その年齢層は重症化しにくいので全体として減り気味のような感じ。

そして死亡者数。データをみると日々の死亡者はだんだん減ってきているのが一目瞭然。重症者の死亡率が高い老年層と感染しても死亡まで至らない若年層の構成比が変わってきたことに関係しているのではないでしょうか。

このように、感染者の増加はあっても死亡者は減ってきました。ワクチン接種も始まったことを考慮すると、感染被害は終焉間近と考えてもいいのではないでしょうか。もちろん、巷間ウイルスうようよなので警戒心を解いてはいけませんが、必要以上に萎縮していると先に進めません。

なのに日々の感染者数とか変異株を持ち出し不安と混乱を与えている行政やマスメディアの目的はいったいどこにあるのか。何かやっているゾ感の演出だったら可愛いのですが、もっと厄介な理由があるのなら恐ろしい。

もう1つ。先にも話題にしたように、昨年この国で死亡した人は大幅に減。実数が出るのは例年秋頃になるので、とりあえず速報なり概数なりをフォローしていたところ、厚労省はそのデータそのものの推計を昨年末止めてしまいました。

一番左は出生数、2番目が死亡数。すべて11月からは数字が消えています。

曰く、「令和元年(2019)及び2年(2020)の数値は、・・・例年と異なる動きが出ています」(令和2年(2020)人口動態統計の年間推計について)。「例年と異なる動き」とは、「近年は、高齢化により増加傾向でしたが、令和2年1~10月の累計で減少」とのこと。要するに、新型コロナでこの国の死亡者は増えるどころか、減ってしまったのです。

でもこれは、毎年数万人死亡するインフルエンザ患者が昨年はほとんどいないという事実からも容易に推測できるところです(先日の説明をご参照下さい)。

昨年の死亡数が減っているというのは、おそらくマスクなどの着用や三密・集近閉忌避による効果でしょう。例外的に昨年増えているのは自殺者ですが、桁が違うので増加要因としては小です(念のため)。

皮肉なことに、国民の健康状態を数字だけで見るなら、昨年は死亡者が少ない、きわめて良好な年でした。これは誰が考えても即座には納得し難い話。だから厚労省も死亡統計(推計値)を引っ込めてしまったのでしょうが、事実は事実。キツネに騙されたような、煙にまかれたような、あるいは騙されたこともわからないような上手なサギに遭ったような気分になってしまいます。