5月13日に抗原の迅速検査キットが薬事承認

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新聞などで報道されている通り、「新型コロナウイルスの抗原迅速診断キットが今月13日に薬事承認され、同日から保険適応」されることになりました。ちなみに抗体検査は防衛した結果を見ることに対し、抗原検査は攻撃側のウイルスに特徴的なタンパク質をチェックする方法です。

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13日に承認予定のキットは「富士レビオ」が4月27日に製造販売承認を申請したもので、親会社はみらかホールディングス株式会社(臨床検査薬大手の富士レビオと臨床検査受託最大手のSRLが統合した会社)。

ウイルス感染を調べるために現在行われているのはPCR検査ですが、今回の抗原検査はウイルスの表面蛋白を検査することで感染の有無をチェックします。医療機関にとって一番の違いは、PCR検査に要する特殊な装置やそれに精通した検査技師がいらないこと。現在のインフルエンザ抗原検査と同様、鼻腔などから採取した検体で一般的な医療機関でも短時間で検査結果が出せるのです。

東京新聞 2020年5月9日夕刊より

現在の日本のPCR検査全体の感度・特異度は発表されていませんが、感度はせいぜい6~7割とのこと。今回の「富士レビオ」の抗原検査キットがこれと同程度の感度でも、特異度が高ければ充分に使用に耐えると思われます。

仮に今回の「富士レビオ」のキットの感度がPCR検査より低くて5割程度としても、3日くらい連続で検査したら感度は8割以上になる可能性があります(1-0.5×0.5×0.5=0.875)。つまり、この抗原検査によって感染者及び感染の広がりを迅速に把握できます。また、新型コロナウイルス感染症に罹った人のウイルス量は初日が一番多く、日数を経ると共に減少することが報告されています。これから考えても、症状のある人を初期から広く検査できるこの抗原検査キットはとても有用です。

この抗原検査キットで陽性が出た場合、すぐにその場でPCR検査の検体を採取するようにすれば、PCR検査を本当に必要な人に集中的に行うことが出来るようになります。また、この抗原検査をうまく活用すれば、軽症者や無症状感染者の入退院の管理や自宅療養の管理にも使えるでしょう。感染実態をきちんと把握できなかった日本のPCR検査の失策をこの抗原検査の活用で打開することを強く期待しています。