感染力は発症直前が超ヤバイ

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昨晩、衝撃的なニュースを見ました。COVID-19に感染したら発症前の無症状の時の方が感染力が高い、という話です。原著に当たってみたら、さらに衝撃が深まりました。どうやって紹介しようかと悩んでいたところ、「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」に概要が紹介されているので概要はそちらへお任せするとして、気になったことを少し。

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Nature Medicineに載った問題のレポートは、”Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19“。広州第八病院の感染者を調べたところ、COVID-19の感染力は発症時や発症前にピークに達しており、最初の感染者(一次感染者)は発症前に次の人(二次感染者)を感染させたと推論しています。

現在、日本では重大な基礎疾患のない場合、発熱してから4日間は自宅にいて、発熱が続けば広報されている「センター」に電話。どこを受診するか相談して、運良くすぐに診察とPCR検査に辿りつけたとしても、結果が出るのは翌日以降。陽性が出たら保健所が濃厚接触の聞き取りを開始する、というきわめてオットリした段取りです。

今回の報告によると、新型コロナウイルスのウイルス量(感染力)は症状が初めて出た日の0.7日前がピーク(いくつか仮定を置いた計算です)。言い換えれば、発症後よりも発症前に誰かを感染させてしまう危険性が高いということ。

これでは、出たとこ勝負なクラスター対策では蔓延を抑えこめる筈がありません。というのも、感染から発症までの平均が5.9日と計算されているため、1次感染者がPCR検査で陽性と判断される頃には2次感染者が発症前に3次感染者に感染させてしまいます。無症状な感染者が災禍を拡大させている、という指摘は以前から出ていました。でも、今回の論文のように理路整然と数字で伝えられると、恐ろしさの度合いはあまりにも大きい。


こうなると、ユルユルの行動規制はおろかロックダウンでも実効性は怪しくなってきます。ワクチンや特効薬が出てくるまでは、根拠なき期限切りの対応策では意味がなくなるからです。また、いくら社交距離(Social distance)をとっても、人は1人では生活できず、また延々と続けるのも難しく、どこかで感染の連鎖が出てくるでしょう。このレポートを衝撃的なレポートだと思ったのはそういうわけです。

とにかくやるべきことは小手先の対応ではなく、ワクチンや特効薬の開発しかありません。国はワクチンや治療薬の開発をしている企業・大学・関連機関に、内外問わず大胆にお金を投入して欲しい。また、効果に疑問がある布マスクの配布に466億円も出すくらいなら、医療現場が熱望しているN95マスクの製造にもお金を投入していただきたいものです。

(追記)N95マスク等の価格高騰で日本のバイヤーが買い負けしているとのニュースあり。予算がないなどと云っていたら、世界中が欲しているN95マスクは全然買えません。いまだにそのことに気づかず前例主義なままの日本当局に呆れます。