COVID-19 抗体検査試験の現在その2

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昨日記したように日本の厚労省や学会等の権威筋はCOVID-19の抗体検査に後ろ向き。休業補償も提示せずに営業閉鎖を目論む政府や地方自治体には、今が非常時だという基本認識が本当にあるのでしょうか。では、他国の抗体検査の実情はどうなっているのでしょうか。

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗体検査は世界各国から出始めていますが、一部には問題があるようです。でも、COVID-19に罹患して回復した人には抗体があるはずですから、まともな検査キットを選べば回復確認に極めて有用です。『偽陰性』がかなりあるPCR試験よりも回復確認には使える筈。日本以外の国々では抗体検査の有用性に着目して実用化に向けて挑戦しています。

まず、ドイツではロックダウンから解放するために抗体検査を活用しようとしています。4月から10万人を対象に検査を行い、抗体検査で回復が確認できた人には「免疫証明書」を発行することも考えているとか(まるで映画『コンテイジョン』)。メルケルさんが云っていた集団免疫の確認ということもあるのでしょう。

英国では家庭用の新型コロナウイルス抗体検査キットが今後数週間のうちに薬局やアマゾンなどで販売されるとのことでした(3月26日のBusiness insider)。でも、英国は中国から輸入した検査キットの信頼性が低いとして返金要求のゴタゴタ中です。検査キットの欠陥なのか、詳しくは不明です。(以上、出典はビジネスインサイダー

また、スイスでは複数の病院が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗体検査を10日以内に開始するとのニュースが流れました(3月末)。もう始まったかもしれません。

写真はBusiness insider 2020年4月10日から

米国ではFDAがCellex社の抗体検査を『緊急認可』しました。この『緊急認可』というのが政府の危機感の表れで、通常の手続きで時間をたっぷり使って認可するかどうか決める、というような悠長な状況ではないことを政府自体が認識しているからです。ニューヨークでは既に抗体検査を開始しており、この検査でCOVID-19に対する抗体がどのように得られているのか、一挙に分かるものと期待しています。

面白い例はコロラド州のTelluride(テルユライド)。この町はスキーリゾートなのですが、町全体8000人に対し抗体検査を行うことによって、今後の封鎖解除の切り札に使いたいとのこと。抗体検査を提供するのは、United Biomedical社(中国)で、共同創業者がその町に住むというご縁からとのこと。

著名なメイヨークリニックも動き始めていますし、スタンフォード大学も4月6日から抗体試験の実用化に向けて動き出しています

さらに、昨日10日のペンス副大統領の記者会見では、既に感染し免疫抗体を持った者を特定する「いわゆる監視検査」を早ければ夏までに導入との発言を行っています。ここでいう検査とはまさに抗体検査のこと。限定的とか効果が薄いとか云っている間に世界はどんどん先を行っています。

Pence said he expects the U.S. to have so-called surveillance testing, which can identify people who may have already had coronavirus and may be immune, in place as soon as the summer.(出典は10 April 2020 Bloomberg

以上、日本以外の国々は抗体検査の可能性を見極めるべく日々努力しています。でも、日本は偽陰性の多いPCR検査に拘り続けています。拘るなら拘るで韓国のように沢山検査するべきですが、日本のPCR検査数は韓国の52分の1というお寒い状況(100万人当たりの検査数)。保健所で出来るPCR検査数がとても少ない上に、保険扱いのPCR検査は殆どオーダーさせない仕組みを作り上げています(巧妙なマヤカシ的仕組み)。

今後はPCR検査だけに拘らず、抗体検査の有用性についても確認・検証して、早く『緊急認可』して欲しいと強く願う次第です。米国FDAが緊急認可した検査キットなら、厚労省も『緊急認可』しやすいのではないでしょうか。