COVID-19 抗体検査試験の現在

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新型コロナウイルスに感染しているかどうか、現在はPCR試験でその判断をしていますが、実際には保健当局の思惑や試験体制の不備で検査数が伸びません。一方で、血液中の抗体検査で簡単に判断できるかもしれないと登場してきたのがイムノクロマト法を使った試験です。その検査について、4月1日付で国立感染症研究所から『A社の研究用試薬による抗体検査』という報告が出ていました。
内容は「複数の検査結果、臨床症状を総合的に判断した慎重な検討が必要」というものですが、使い方によってはその有効性を活かせる局面がありそうです。(以下、身近な医者からの情報提供です。医学用語いっぱいなのはご勘弁)

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当該報告名は、「迅速簡易検出法(イムノクロマト法)による血中抗SARS-CoV-2抗体の評価」(4月1日 国立感染症研究所)。使用した抗体検出試薬は研究用試薬(A社製)。A社というのが、先日お伝えしていたクラボウが出したものかどうかは不明ですが、原理はイムノクロマト法でいっしょです。

詳しくは報告を読んでいただくとして、結果を噛みく砕いて記すと以下の通り。

1) IgG抗体キットは予想範囲内の結果で、暫定的な使用は可能かもしれない
2) A社のIgM抗体キットは使い物にならない
3) 国立感染症研究所が健常者の血清検査を一切行っていないのが何故か不明だが、健常者の100%近くがIgG抗体陰性なら、A社のIgG抗体検査はかなり優秀と考えられる

以上から判断すると、当面の結論は以下の通り。

IgM抗体検査は当面使用しない、
IgG抗体陽性は「感染中、または既感染」、
IgG抗体陰性は「感染後2週間以内、または非感染」と考えてもよい。

健常者の血清検査はその気になればすぐに可能です。たとえば、2020年1月までに凍結保管した血清を数多く集めて検査する、PCR陽性者が報告されていない岩手県や鳥取県の病院に依頼して、残血清で検査するなど、いろいろ考えられます。100例とか200例の血清とか、1日で検査できるはずです。

そうすれば感染者との相違が明確になると考えられるので、さらに状況把握が進みます。医療機関の皆様には新型コロナウイルスに罹っていない(筈の)人のIgGキット検査も早急にお願いしたいものです。