SARS-CoV-2ウイルスが変異?

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新型コロナウイルス禍(COVID-19)の抗体検査、米国等では来たるべき経済再開に向けて活用しようという動きが広がっていることを前回お伝えしました。また、欧米で広がる、感染後に回復した人には「感染証明書」を出して経済を復活させようというのは良いアイデアだと思いますが、先日来また厄介な話が出てきました。新型ウイルスが既に変異している、という話です。

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本サイトで「市中感染」という用語を使ったのは3月1日。というのも、日本ではクルーズ船の乗客乗員の最終感染チェックを怠って市中へ開放し、外国からの旅行者や帰国者に対しての検疫もユルユルなので、市中感染は避けられない・既に始まっていると考えたから。

実際そうなっていることが日々明らかになってきました。欧米のみならず日本でも無自覚無症状な感染者がウヨウヨ。感染拡大に対処するため欧米ではロックダウンなどの強制措置を繰り出していますが、一方で日本政府はクラスター(集団感染)を潰していけば何とかなるという希望的観測で現在も動いています。本当にそれで大丈夫なのでしょうか。

厄介なことに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をめぐる問題は日々複雑化。原因ウイルスが人から人に伝播していく過程で、どんどん『進化』して『変貌』しているのではないかという報告も出てきました。

出典はナゾロジー 2020/4/10

その中で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスであるSARS-CoV-2は、今までに既に3つの型と160種類の下部グループに変異していることが紹介されています。紹介の元になっている研究内容はケンブリッジ大学のピーター・フォースター氏らによってまとめられ、4月8日に学術論文誌「PNAS」に掲載された、”Phylogenetic network analysis of SARS-CoV-2 genomes”

この論文のキモは、SARS-CoV-2ウイルスが人から人に伝播していく過程で、どんどん『進化』して『変貌』していくということ。これを読むと、いろいろなことを調査・解明していく必要があることがわかります。

SARS-CoV-2のB型に罹って治ってもC型に罹るのか?

C型に罹り治ってもB型に罹るのか?

近い将来、D型やE型が出てくるのか?

SARS-CoV-2ワクチンが出来たとして、それはA型にもB型にもC型にも効くのか?

今年1月2月に日本に持ち込まれたSARS-Cov-2はB型で、欧米からの帰国者が最近持ち込んでいるのはC型なのか?

などなど、質問が次から次へと出てきます。ウイルスの型違いで症状や致死率が違うなら、日本でも欧米のように若年層にも重篤者が増えてくるのではないか等と厄介なことを想定しなければならなくなるから(BCG仮説も怪しくなる)。

今回のSARS-CoV-2ウイルスのように、驚異的なスピードで『進化』や『変貌』し、かつ無症状キャリアが何割もいるような感染症への対処は極めて難しく、その恐ろしさは予想を超えています。クラスター対策で抑え込めるなどと侮っていては致命的になるのではないでしょうか。

どうも相手は1年程度で克服できる程、生易しい相手ではなさそうです。日本政府は東京オリンピックを1年延期しましたが、来年夏に東京でオリンピックを開催できる可能性はどんどん遠のいてきたような気がします。

市中感染を進行中の事実だと認識するなら、ドイツや英国のように集団免疫を獲得することを視野に入れなければなりません。そのためには、感染した人や既に免疫を獲得した人はどれくらいいるのか等々、大規模な抗体検査が日本でも実施されることを願って止みません。