COVID-19 日本での死亡者の年代は?

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で国内で亡くなった人が84人になりました(4月4日夜時点)。死亡数そのものは厚労省などのサイトで確認できますが、その年齢分布はどうなっているのか。報道から死亡は高齢者に多いという感じはしますが、具体的なデータではどうでしょうか。

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なぜ死亡者の年齢分布に注目するのか。一般的に高齢になればなるほど体力は衰え、免疫抵抗力が落ちてきます。だから、高齢者の方が若者よりいろいろな病気に罹りやすく、ウイルス感染でも死亡率は上がってしまうでしょう。でも、ここで高齢者に注目する理由はBCG接種の有無を確認したいから、です。具体的にいえば、日本で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で亡くなった人は、BCG接種をしていなかった人たちの割合が多いのかどうかということ。

日本での死亡情報は以下の通り(厚労省発表)。4月4日夜時点で84人が亡くなっており、この内11人は例のクルーズ船関連です。徐々に増えてきましたが、イタリアやスペインなどのように1万人を超える死亡者数ではありません。

日本での死亡者の年齢分布はどうなっているのでしょうか。各自治体の報道資料やメディアの報道からチェックすると、50才代が2名(男性2)、60才代が5名(男性4女性1)、70才代が22名(男性17女性5)、80才代が20名(男性13女性7)、90才代で3名(男性2女性1)、年齢性別不明32名でした(4月4日夜時点、ざっとしたチェックなので誤りがあるかもしれません)。

(注)死亡者19名の愛知県は、個人情報保護という名目で死亡者の年齢区分や性別を一切公開していません(19名のうち1名だけは70才代男性と報道で判明)。愛知県以外にも年齢区分や性別が不明な自治体があります。死亡者の年齢区分や性別の非公開は今後の調査に大きな障碍となるので、今からでも是非公開して欲しいものです。なお、年齢区分表示なしで高齢者とした群馬県の死亡者は60才代に入れました。

年齢区分が判明している死亡者52人のうち、70才以上は87%(45人)。60才代まで含めると96%で、死亡は高齢者がほとんどです。50才代は2例で、それよりも若い世代には死亡例がまだ出ていません。諸外国での死亡年齢分布は(現在私には)不明ですが、各国報道を毎日眺めている限りでは高齢者だけでなく壮年層にも広がっているような印象です。

なぜ日本の死亡者が少ないのか。なぜ若年層〜壮年層に死亡例が少ないのか。年齢による免疫力の違いとか、基礎疾患を持つ人の割合が高齢者より少ないからでしょうか。でもそれだけでは、高齢化率が世界一の日本で死亡者数が少ないという理由が説明できません。

他国で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とBCG接種との逆相関が問題にされるようになったのは、死亡者数の相違においてでした。加えて日本の死亡者年齢が高齢に偏っているなら、これもまたBCG接種との逆相関で説明がつくかもしれないというのが、先日の当方の言い分でした(80才以上のBCG接種者は少ないと考えられるから)。

一方で、日本ワクチン学会はBCG接種との関係について「いまだその真偽が科学的に確認されたものではなく、現時点では否定も肯定も、もちろん推奨もされない」、「新型コロナウイルス感染症の発症および重症化の予防を目的とはしていない」等とする「見解」を早々と発表しました。

日本ワクチン学会の見解は、平常時ならその通り。でも、今は世界全体が非常時。今まさに世界中でワラをも掴む気持ちで関心が集まっている、そのワラの一本がBCG接種なのです。「果ての国」(非常時)を生き抜くためには、「月並みの国」(平常時)の論理では通用しません。官僚主義的な見解を出して世界の尽力に水を差すようなことをせず、自分たちの持てる力を世界のために発揮していただきたい。

日本の死亡例の少なさに世界が着目している現在、彼らが本当に科学者なら、まず日本での死亡例でBCG接種の既往歴の有無くらいはすぐに調べて発表していただきたい。BCG接種は十数年程度の予防効果と言われていますが、日本では0才5ヵ月以上の乳児へのBCG接種によって乳幼児や小児に新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)への感染が少ないという可能性も考えられます。

また、青年期〜壮年期では感染してもCOVID-19を発症しなかったり、発症しても重症化する割合が少ないという可能性も考えられます。そして、高齢者ではBCGによる効果が無くなっているとか、80才以上の人達の多くにはBCG接種歴が無いとかなら、その年代の発症・重症化・死亡に繋がっている、とも考えられます。

独自のBCG株でBCG接種を行っている中国からの報告でも、年齢区分別の重症化率や重篤/死亡率が大きく異なっています(下記の補足参照)。

また、日本が使用しているBCGは「Tokyo 172-1株」で、これが他国で使用しているBCG株より優秀な可能性があります。もし、Tokyo 172-1株の接種でSARS-CoV-2への感染を減らしたり、重症化を減らしたりできるのなら、SARS-CoV-2に対する本格的なワクチンが出来るまで凌げるかもしれません。日本のBCGが全世界に貢献できることになります。科学的な検証が早期に開始されることを強く願う次第です。

<補足>
中国からの1011例の報告では、年齢区分別の患者数(有症状者)/重症者数/重篤or死亡数(患者数に占める割合%)は、
0〜14才は 9例/1例/0例(0%)
15才〜49才は 557例/67例/12例(2.2%)
50才〜64才は 292例/51例/21例(7.2%)
65才以上は 153例/44例/32例(20.9%)
でした。なお、重篤とはICU入室or人工呼吸器使用と定義されています(NEJMに投稿された論文)。