都市洪水 野洪水 陸津波

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都会で起きれば都市洪水、地方の野っ原で起これば野洪水、津波のように襲ってくると陸津波(おかつなみ)。どれも皆、内水(氾濫)を指しています。今年の豪雨でこれら用語の意味するものを知って驚いた人が多いかも知れませんが、既によく知られた話。でも、いずれどこかで悲惨なことになるのでは・・・と学生時代から心配していた私にはショックで、最近よく眠れません。

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なぜ厄介な氾濫が起こるのか。大きな河川に小さな川がいくつか流れ込んでいる地形を想像して下さい。大雨などで大きな方の河川の水位が上がってくると支流の小河川は流れ込むことができなくなります。なぜなら水は高い所から低い方へ流れるから(自然流下)。その結果、水は流れ込む地点に溢れることになります。これが内水(氾濫)。

昔からそういう場所には沼や池が多く、今回洪水になった赤沼、沼部等々はまさにそういう地形だった名残でしょう。これら地域は浸水や氾濫の調節機能を果たしていましたが、都市化でいつのまにか埋め立てられ忘れ去られたようです。また逆流(バックウォーター)の様子がまるで津波のような場合も昔あったのか、陸津波(おかつなみ)という言葉が残っているのでしょう。

私自身はといえば、そういう事象の存在と恐ろしさを学生時代に知りました。まずびわ湖。びわ湖には流れ込む河川や水路は山ほどありますが、流れ出すのは瀬田川1つ。湖の水位が上がると回りの河川は流れ込むことができず、びわ湖の周囲で溢れかえります。これが昔頻繁に起きた野洪水と呼ばれるものでした。郷土史を調べてみるとたくさん出てきます。

もう1つは、1980年頃急に降りだした豪雨で京都の熊野神社前の交差点がまるでプールのようになったこと。歩くどころか流されそうになりコワイ思いをしました。下水道局の知人に尋ねると「設計通り」で、下水の排出能力は時間50mmの降雨にしか対応していないというのが理由です。

原則として日本全国だいたい時間50mmの降雨を想定して下水道が施工されています(例外あり)。もし雨の降り方が今後変わったら、あるいは都市化が進んで降雨の流れ出しが今以上になったら(流出係数が上がったら)、とんでもないことになりそうだと、当時恐しくなった記憶があります。

不幸にもその心配は数年前から現実化してきました。本サイトでも既に記してきた通りです。大陸性の気象が大きく変化した現在、もう時間50mm降雨の想定では太刀打ちできなくなったと考えるのが安全性の考え方ではないでしょうか。

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今年はさらにその懸念を裏打ちするかのごとく台風や熱帯性低気圧が時間100mm超えの降雨で関東等を襲いました。現在の被害ももちろん深刻ですが、もし今回のような豪雨が関西に来ていたなら京都南部から高槻枚方等の大阪北部ではもっと深刻な被害になっていたのではないか・・・。下水道の質的問題に取り組んだ者としてはもっと量的な視点も深めるべきではなかったのか、そんなことを考えて最近よく眠れません。

こういう状況で私たちはどう考えればいいのか。先日洪水ハザードマップを見ようと書きましたが、それだけでは不十分。この前提となるのは時間50mm程度の降雨とそれに対応する下水道の能力でしかないので、これを超える降雨ではもっと深刻です。

またマップを2次元的に見て河川からの距離だけで安心するのではなく、3次元的に見て土地の高低や水の流れを把握して下さい。できれば古地図などを参考にして昔沼や池だった場所を確認するとよくわかるはず。

その上で自身の居住場所が危険であるかどうか、それをご判断下さい。行政対応はどうしても時間遅れが出てきますし、命や資産を守るために個々人がやるべきことは限られているかもしれませんが、まずは現状把握が第一です。

もうすぐ冬なのに幼虫は蛹で越冬するつもりなのでしょうか。