洪水ハザードマップを見よう

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先週末の台風19号は関東などの各地に甚大な被害をもたらしました。その被害に遭われた方々が1日も早く元の生活が取り戻せることを願っています。

ところで、二階自民党幹事長が13日の緊急役員会で今回の台風について、「予測に比べると、まずまずに収まった感じですが、それでも相当の被害が広範に及んでいる」と発言したそうな。被害者に塩を擦り込むような言い分はあまりにも非情でアウト。

なぜこんな発言をしたのか。そう考え、国交省の洪水ハザードマップを改めて眺めると今回の被災地が想定される洪水地域に見事に重なっていることに唖然。おそらく危機管理担当の官僚がこういうマップを指し示しながら数十万人規模の被害想定を二階氏に伝えていたのではないか、でもそこまでは被害が広がらなかった、という判断で先の発言になった・・・。つまり、単なる失言ではなかった、というのが私の読みです。

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こちら関西なので、京阪神のどの辺が水害に遭いやすいかというのはよく知っています。その根拠になるのは国交省の洪水ハザードマップ(以下、マップ)。

たとえば、京都南部の旧巨椋池付近から大阪の高槻枚方付近はきわめて危険です。河川の姿が消え去った枚方付近の堤防の内側を歩く度に大丈夫かと心配するのは私だけでしょうか。それはさておき、

国交省の洪水ハザードマップの一部

今回の台風19号はとくに世田谷区二子玉川の多摩川や長野穂保地域の千曲川、新潟の阿賀野川、宮城の吉田川等々に多大な浸水被害をもたらしました。マップでみると、これら地域はすべてピンク色。どういうことかといえば、連続数百ミリの雨が降れば洪水に見舞われ、住宅や施設は浸水被害を受けることになる地域です。

今回堤防が壊れたから被害が広がったのは事実でしょうが、マップ上の浸水想定は降雨量の多寡だけで堤防の決壊を考慮していません。

そこに住んでいる方々はそのことを知らなかったのか。マンション地下に電気室なんて話を聞くと、自分の所は大丈夫だとタカをくくっていたのか。

とくに驚いたのは長野県の穂保地区。この住宅地には5m以上、最大10mの高さまで水が来るという表示板があることを今回知りました(出典はサンケイ新聞)

これを見て誰も違和感や恐怖心を感じなかったのか。この場所はよく河が氾濫する場所だったのが堤防が完備したため、洪水なんかもう来ないと安心していたのではないのか。でも、こういう場所に住むのであれば、それなりのプランBと覚悟を要します(注記)。

この国に生きる限り、地震や台風は誰も避けられません。想定を超えた雨量が当たり前になった現在、過去の経験だけで判断してしまうと明日の危険に遭遇します。

とりあえず、ご自身の地域の洪水ハザードマップをご覧下さい。話はそれからです。

(注記)堤防やダムで安心する・安心させる人が多いけど、その能力を超えた降雨があるとより悲惨な結果を招来します。堤防やダムによって日頃の警戒心が薄れてしまうと被害はより甚大になります。ご用心。