最近の大雨を過去の基準で測るな!

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higan1309前回9月もそうでしたが、今回の台風被害も甚大です。伊豆大島での死者のご冥福と行方不明者が早く見つかることを願っています。

ところで今回の台風や大雨に対し、気象庁や気象当局が非難勧告を出していないとか、勧告が遅れたからとか、そんなところに大被害の理由を求める論調がTVや新聞で伝えられています。本当にそうなのでしょうか。

台風や大雨に関する様々な状況が大きく変化してしまい、過去の指針や判断基準がほとんど役に立たなくなってきたのではないのか。つまり、もう既にルールが違う試合をしているようなものなのではないのでしょうか。

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既に書いたように、現在私たちが持っている雨水排除の技術は40、50年前に確立されたものであり、その基礎データは昭和30年代から40年代のものです。

ところが、中国等の経済発展とともに大陸の気象環境はすっかり変わってしまい、太平洋の海洋性気象との微妙なバランスの上で成り立っていた日本のお天気が大きく変化してしまいました。上空の偏西風が大きく蛇行したり、南北に大幅に動き、昔とは大きく異なった気圧配置の現出にその変化の姿を見出すことができます。

それに伴い、降雨量や降雨場所も変化してきました。昔の基準にいえば20年30年に一度というような強さの雨が、それまで降雨被害がなかったような場所で年に数回発生しているのも大きな違いです。加えて、私たちの住環境や周囲の自然環境が数十年前とは全く違ってきているため、降った雨の動向も以前とは異なります。既に状況は変貌し、もうルールが違うのです。このことを当局はどこまで理解しているのでしょうか。

ルールが違う試合を元の古いルールでやっているようでは勝負になりません。過去の決まり事にしばられている当局の規制や勧告では私たちの生活を守ることは到底できません。

行政当局が過去のルールに絡み獲られ有効な対応策をとれない以上、自身と家族の命や資産を守るのは自分たち自身しかないのではないでしょうか。

台風や大雨で悲しい思いをしたくなければ、浸水洪水地域と自宅との位置関係、対策施策の内容の評価等、考えるべきことはたくさんあります。お住まいが高台なのか低地なのか、地盤はどうか、堤防が決壊したらどうなるのか、大雨でも大丈夫かどうか等々を自らが考える、少々の知識ならネットでも得られるし、それが難しいならより詳しい者に助けを求める努力も要るでしょう。

基本に立ち返り、過去のデータをあてにせず、昔の数倍の雨がやってきても自身の場所が耐えられるのかどうか。おそらく今後は熱帯性の疾病の心配までする必要が出てくるのではないか。そんな厄介なことまで考えなければならなくなった時代になってきたのです。

過去のルールでしか災害を評価できない行政や評論家の弁にご注意下さい。非難勧告云々で誰かに責任を負わせても問題解決にはほど遠い。既にゲームのルールが大幅に変わっているのですから。

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