東芝の闇は原発

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東芝の粉飾決算を不適切会計だと誤魔かすマスメディア。でも、問題はもっと深刻。私思うに、利益先出し・損失先送りのインチキ会計の背後にあるのは米国ウェスティングハウスの買収の失敗、つまり原発事業の継承による巨額債務。最近そのことを暴くいろいろな記事が雑誌に登場したみたい。そのうちの1つを紹介しておきましょう。

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東芝については、「発送電分離の反対勢力の一角だった東芝が、同時期から粉飾会計で体裁を取り繕っていたのが暴露されつつあるのを見ると、原発メーカーの破綻は既に3.11から始っているのかもしれません」(2015/07/11)、あるいは「これを機会にウェスティングハウスと縁を切って欲しいと切に願う次第」(2015/09/01)と触れてきました。

これは新聞やテレビで報じられている内容に原発絡みの話が見事に省かれてしまっていることへのアテツケでしたが、私の勘は当たっていました。実際のところ、問題の根は私の想像よりずっと深いみたい。やはり、今回の東芝の粉飾会計の裏には原発絡みがあるようです。山岡淳一郎氏が書いた「東芝不正経理の闇と国際原子力シンジケート」)週刊金曜日 2015.8.28(1053号)で私はそのことを知りました。

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東芝はこの7日に異例の2度伸ばしで決算を発表。2014年度の赤字は378億円。その内容としては以前から説明されていた粉飾会計に加え、東芝は下記のような説明をしています。

新たに調査した10件の会計処理が原因で、米国子会社の水力発電案件や固定資産の減損など6件で修正が必要と判断し、15年3月期の税引前利益を34億円押し下げた。(ロイター 2015年 09月 7日より

でも、これは全く表面上の取り繕い。どこにも原発関連の会計処理がありません。

東芝は2006年に原発企業であるウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニーを買収しました。その額、6467億円!。純資産2456億円+プレミアムが4011億円という異常な内容ですが(これを異様としない有識者やメディアにも呆れます)、その後東電原発事故などが起こり、世界中で原発事業が頓挫。栄華を誇っていたフランスのアレバが今年破綻の危機に陥ってしまったように関連会社はどこも火の車。なのに、東芝はこの買収関連の減損処理を一切行っていないのです。

簡単にいうなら、東芝による過去の粉飾会計が明らかになっていれば、巨額の原発企業買収に関わる債務を含め、市場からの資金調達ができず会社は破綻していただろうということ。つまり、数年来の会計を誤魔かすことで生命線を保ってきたというわけ。減損会計をすべきは金額の少ない水力発電などではなく、もっと巨額な原発関連のはず。それをしない限りは大赤字隠しでしかありません。また、そのことに触れないマスメディアも共犯状態です。

東芝はアレバ同様、3.11以降の世界情勢の変化の中でかなりヤバイ状態になっており、その損失を表に出せば吹っ飛びかねないのではないでしょうか。小さなな粉飾で世間を賑わせ、本当の大赤字については不問にするというのは手品のようなやり口ですが、やっぱり東芝の粉飾事件の裏には原発の闇があるといってよいでしょう。