二度目のPiazza Duomo ニース番外編 その1

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P0_floor今回のニース旅行は帰りをイタリアのトリノからにして、北上する途中Albaに寄り道しました。Piazza Duomoへ行くためです。

前回ほどではないかも、と思いつつ二度目に訪れたのですが、前回以上の感激ディナー。料理の美味しさはもちろん、居心地の良さに満足感、どれをとってもさすがというか何というか文句なしに素晴らしい!


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ピエモンテのAlbaにあるレストラン Piazza Duomo。ミラノから約3時間、トリノからでも1時間半。でも、ミシュランの3つ☆の定義通りの、「旅をしても行く価値あり」な場所です。

既にお伝えしている通り、前回2011年に訪れた時に美味しさ・サービスの快適さに感激し、いずれ3つ☆だろうなと思っていたら、2012年末に早々と格上げされました。

ドアホンで到着を伝え、ドアのキーロックを解除してもらって中へ。私たち夫婦が最初の客でしたが、すぐに他の客も続々と到着し、30分もしないうちに賑やかになってきました。

P1_siso今回驚いたのが、男性6人組のお客さん。こちらが席に着いてしばらくすると、国籍不明の欧米人6人組がズラズラとフロアへ入ってきました。全員タキシードの正装、タイはボータイ(蝶結びタイ)。正装で3つ☆レストランへ、という趣向なのでしょうが、格好いいのです、これが。6人一緒に大テーブルにつくと実にサマになっています。連れ合いは、イヴ・モンタンの映画「ギャルソン!」の1シーンを思い出したとか。とにかく、タキシードなんか遠慮します主義な私でも、ボータイって良さそうだぁと思った次第です。


P2_happaさて食事の紹介です。フランチャコルタの泡を飲みながらメニューをめくって食べるものを考えるのですが、これがなかなか難しい。だって、ここのメニューはそのまま読んでも何のことだかさっぱりの、謎かけリストなのです(苦笑)。


P1b_poliたとえば、前回食べた”TONNATO NON TONNATO”。「マグロでないマグロ」。何じゃいな、これ。どうやら、ウサギか仔牛肉を軽く調理したもので、色や見た目がマグロのように見えるということで命名されたらしいのですが、説明なしに食べたら、まさしく「見た目はマグロなのに味わいがマグロじゃない」料理でした。


P3_amuse今回はどうするか。あれこれ考えたあげく、今回は前回とは違うサプライズを期待し、別のメニューを選びました。その一方で、テーブルには続々と小皿や小品が運ばれてきます。アミューズというか、Piazza Duomo定番の前菜祭り!?のスタートです。

一気に並べてみましょう。まずシソのシャーベット。創作摘み菜、変わりグリッシーニ、そして総菜3品、疑似オリーブ、そしてポルチーニパン、その他。どれもそれぞれ風味があってマル。


P4_suidoOオリーブ豆のように見えるのは何かの根菜や肉で作ったもので、口に入れるとちょっとびっくり。いったい何で作っているんでしょうね? 


P5_poltiまた、ポルチーニパンは口の中いっぱいに茸の香りが立ち上ります。すぐにアペリティフの泡(フランチャコルタ)が空になってしまいました。


P6_dola食中のワインですが、ソムリエと相談し、まずシャンパンをグラスでいただいてから白を1本開けることにしました。シャンパンは大好きなドラモット。

白は何を飲もうかなと逡巡していたら、ソムリエ側から意外な提案が出てきました。今回の食事ならHartmannのDona Blancを是非どうぞ、というのです。

リストをめくると、ボトルで32€。グラスシャンパン2杯の値段と同じくらいじゃないですか! ホンマ!?(爆)


このワインで大丈夫?と尋ねると大丈夫とのこと。飲んでみると、これがたおやかな料理にぴったりで、大々大正解。やっぱりソムリエ氏が自信を持って薦めるのを頼むと二重丸ですね。

食事の続きです。次のものがテーブルに出てきた時、ちょっとびっくり。だって、まんま葉っぱなのです。チャードとのことですから、ふだん草。何かオイルにつけ込んでいるのか、それとも蒸したか煮たかの葉にオイルをかけているのか不明ですが、上質なとろみの葉っぱの味わいを満喫。ソムリエ氏がまずはシャンパンでどうぞと薦めた理由もこの葉っぱに合わせてほしいということだったのでしょう。なかなか。

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さぁ前座はこれでオシマイ。次の一番目の料理は私がINSALATA 21…31…41、連れ合いはCREMA DI PATATE, LAPSANG SOUCHONG。前者は名前からは想像できません。21種類~41種類の葉っぱや花などを使ったサラダという意味らしいのですが、英語メニューにはツナソースと書いてあったので何これ?と聞くとソースに関係しているらしい。

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見た目はまるでお花畑。あるいは野原いっぱいに花が咲いている、という感じでしょうか。でも、いくらきれいだからといって味がないのは困りますが、ほんのり和えているソースが何気に旨いのです。まるで牛や羊のように、ムシャムシャ食べてしまいました。見栄えといい、味わいといい、究極のサラダというべきかもしれません。素晴らしい。

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CREMA云々の方は要するにポテトクリーム。それに正山スーチョン茶(紅茶の一種)が少しふりかけられているのですが、出てきた容器が面白い。ニワトリを模したのか、それとも架空の生き物なのか、何かの生物体のようなカタチをしています。思わず、ル・カランドレのイカスミポテトクリームを思い出してしまいました。肝心の味ですが、クリームは濃厚で味わい深い。これまた二重丸!

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二番目はエビとタラの魚料理。炭水化物をできるだけ摂らない食事(糖質制限)を実践中なので、パスタを遠慮したからです。どちらも色鮮やかで美しく、テーブルに届いた時からどんな味がするんだろうとワクワクしてきます。ズッキーニは薄切りに削いでマリネ液で味付けされた鱈の身といっしょに供されていますが、何気に旨いんですな、これも。エビを使った料理がシンプルに感じられるくらい。下味は何でしょうね。そして何より、ソムリエが薦めてくれたDona Blancがよく合います。ラッキー。

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そして三番目。連れ合いはイカ、私はウサギを注文。こちらも野菜いっぱい、というか野菜の中にイカや肉が潜んでいるという感じ。どのお皿も野菜が多いのですが、味付けはすべて異なります。おそらくメインの食材に合わせたドレッシングを使っているのでしょうが、食べる者を飽きさせません。

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イカはともかく、ウサギにはちょっと笑ってしまいました。というのも、添え物がニンジンなのです。その後ろに控えているのがウサギ肉のソテーというのは、カップリングというべきなのかどうか。最後まで、驚きの連続で美味しくいただきました。

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最後は(別腹の)デザート。さきほども書いたように私は低炭水化物指向なので、シュガーいっぱいなものは遠慮してチーズを選択。一方、連れ合いが頼んだのはパンナコッタ・マチス。そう、マチスです。出てきたデザートをみると、赤緑黄色の原色をあしらったものでした。

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いわゆる「赤い…シリーズ」時代の、マチスの鮮やかな色使いをイメージさせるものですが、こういう趣向は面白いですね。名付けの妙というか、シェフの美的センスを垣間見るようでマル。今回の旅行を締め括るデザートとしても、実に嬉しいネーミングでした。

アフターデザートの小菓子を楽しんだ後、お勘定をお願いし、会計のタイムスタンプを見るともう22:45。レストランに入ってから3時間超です。でも、あっという間の、楽しく美味しく驚きありの感動的なひとときでした。この次はいつになるのか、わかりませんが、いずれまた是非愉しみたいものです。

さて、美味しい料理とホスピタリティ溢れるサービス、どちらが欠けても最高のディナーにはなりません。Piazza Duomoが世界最高級のレストランである所以は、それらすべてを供してくれるからです。特にサービスは、お客それぞれに望むものが違うので、奥が深い。でも、ある程度美味しいものを出すレストランなら、あとはサービス次第です。Piazza Duomoの食事を楽しみながら、改めてそう感じました。

ちなみに、私たち夫婦の海外レストランベスト3は、ランブロアジー(パリ)、今回のピアッツァ・ドウモ(アルバ)、そして凱悦軒(香港)。どこも最高の料理とサービスで楽しませてくれます。3番目のホイユッヒンは周シェフが既に店を辞めたので行こうにも行けませんが、出身シェフの宮本さんが京都で開いている「京・静華」でその進化形を楽しめます。機会があれば是非どうぞ。でも、ヒトの好みはそれぞれですから、各人のお気に入りを見つけることができれば、それ自体が幸せなことではないでしょうか。