ミラジュール  ニースその13

.Travel & Taste

Dtitle美味しい話をお待ちの方々へ。お待たせしました。本稿と次稿はレストランの訪問記です。まずはミラジュール。

Mirazur(ミラジュール)はニースの東にあるマントンの郊外、フランスとイタリアの国境近くの、地中海を見おろす小高い丘にあるレストラン。今回の旅でフランス最後のレストランとして選んだのがここ。手持ちのミシュラン2010年版では☆1つだったのが、2012年に☆2つに格上げされたらしい。興味津々で向かったところ、なかなか美味なランチディナーとなりました。


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12時半の予約で出かけると、その後、お客さんがどんどんやってきて席はすぐに埋まっていきます。人気ですね〜。窓際の席から見渡せる紺碧の地中海に青い空、そしてマントンの町並みが素晴らしい! それだけでも御馳走です。

D0_wineまず、グラスシャンパンを飲みながら、メニューを眺めて夫婦で相談開始。フロア担当の女性によると、ここの売りは素材重視のナチュラルな料理で、野菜も自家栽培で云々…とのこと。聞くだけでワクワクするような説明に絆され、私たちはDegustationメニューを選びました。

次は飲み物。ソムリエの1人に「地元のワインでお薦めは?」と聞くと、指し示してきたのはリストの中の地元産で一番高いもの(150€)。なぜそのワインがオススメなのか、説明はないのかな〜と思っていると、次に勧めてきたのは110€のワイン。さらに、もっと安いのも薦めてきました。こちらの懐具合を探っているのが見え見え。あちゃ〜。

ホンマのお薦めはなんじゃいな? ソムリエなら、料理とワインの相性はもちろんのこと、客の嗜好や希望そして懐具合を読むのが腕の見せ所なんだから、もっとスマートにエレガントに駆け引きして欲しいなぁ。結果、私が選んだのは彼が2番目に薦めてきた、946というワイン。946という名前の由来は標高らしい(プロヴァンスの十字架の標高か)。醸造場所はセザンヌの絵で有名なサント・ヴィクトワール山の近くとのこと(右写真)。

D1_1st料理と飲み物が決まって、さぁ食事のはじまりです。まずはアミューズ。自然派レストランらしく、小石を小物に使って海岸の雰囲気を出したのでしょうか。貝や天ぷらの味わいはまるで日本の懐石料理です。


D2_kaki次はgillardeau産のカキ、そしてイチジクやチーズを合わせたフレッシュサラダ。どちらも見た目に美しく何とはなしに旨い。アミューズに続き、軽い前奏曲が続いているような感じです。


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D4_eggそして出てきたのが卵。まるで鳥の巣のような雰囲気のレイアウト。カリフラワーのクリームソースの中に、燻製ウナギの香りとヘーゼルナッツの味がミックスされていますが、見た目からはちょっと想像できない位に味は複雑です。初めて食べる味なのに愉快な気持ちにさせてくれました。器も木製で雰囲気があります。


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次に出てきたお料理にはびっくり。メニューにはトルテリーニとありますからパスタなんですが、まるでそれ自体が何かの花か生き物のような、そんな感じです。上につけている可愛い小さな花は何なのか、後で調べてみるとクミンの花のようです。どうりでそんな香りもしたような(苦笑)。こんな出し方を見たのは初めてですね〜。シェフの美的センスに脱帽です。見栄え良し、味わいも深く絶品級で二重丸。

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さらに、この次のお皿にもびっくり。上の写真の右側の素材は何だかわかります? イカなんです。フォークを入れるとパラリと解れてきます。長尺方向にカットされた、いわばイカ素麺のソテーです。こんなカットは今まで見たことありません。ほどよいイカの柔らかさと甘い味わいもマル。素晴らしい! それにしても美しい皿が続きますね〜。フロアの女性によると、厨房には日本人もいるとのこと。ネットの紹介でも菊乃井の村田氏が載っていましたら、いろんな付き合いがありそうです。

D7_turbotメインはイシビラメの料理とカモの焼き。どちらも美味しく、ペロリと平らげてしまいました。

D8_duck頼んだ白ワインは魚や野菜の多い料理全体と相性が良く、私たち夫婦を楽しませてくれたことを付け加えておきます。その後、イチジク&シャーベットの口直し、デザート、チーズ、そしてコーヒーでランチディナーを締め括りました。


このレストラン、料理は素晴らしく、お皿毎にサプライズもありで大満足。さすが2つ☆と感心した次第です。味付けといい器といい、明らかに日本的なテイストを取り入れています。魚の捌き方もフランスには珍しいくらい丁寧。でも、日本の味ではありません。そこが私には面白く愉しめました。最初のフロア担当の女性はとてもエレガントでしたし、フロア全体のブラッシュアップがすすめば、最高峰ランクは遠くないことでしょう。


D9_dessaシェフはアルゼンチン出身のMauro Colagrecoさん。ブエノスアイレスの料理学校を出た後、ロワゾーのコートドールでの修行を皮切りに、アラン・パッサールのアルページュやアラン・デュカスのプラザアテネ、それにグランヴェフォールと経歴を積み、2006年このミラジュールに。フランス料理界のエリートコースまっしぐらですね。野菜使いの巧みさはアルページュ仕込みでしたか~。

食事後、フロアの人が印刷した当日のメニューを手渡してくれました(下の通り)。英語なのが有り難い。何を食べたのか、はっきりしないものもあったので助かります。また機会があれば是非うかがいたいものです。さてさて次は、二度目のPiazza Duomo、最高級のお食事です(続く)。

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〔追記)続きとして、
 祝 ミラジュール及び、ミラジュールその後等。