抜け穴

.opinion

140102法律や制度にはさまざまな抜け穴あり。上手く使う者は賢いというのか、それとも狡賢いというべきか、それはケースバイケース。でも、ワタミを実質支配しているのに株式の報告義務を回避した国会議員の渡辺美樹氏の場合は後者でしょう。

・・・

企業の資産隠しの常套手段にトンネル会社を作って表舞台から見えなくするというのがあります。会計上の理由や防衛上の意味もあるのでしょうが、世間の目を誤魔化すという点においてはいっしょです。ワタミの創業者で現在国会議員の渡辺美樹氏の資産公開では、それが如何なく発揮されています。

読売新聞によると、渡辺氏の資産公開にはワタミ株の記載がなかったそうな。彼はワタミ株を持っていないから当たり前なのですが、話は簡単ではありません。ワタミの株式の4分の1超は有限会社「アレーテー」なる会社が所有しており、その「アレーテー」の全ての株を持っているのが渡辺氏自身なのですから、これを世間ではトンネル会社といいます。要するに、外部の持ち株会社で実質支配しているわけ。

ym140106ところが、現在の資産公開では報告対象が上場会社と資本金1億円以上の非上場会社に限定されているため、「アレーテー」については報告義務がない(と渡辺側が判断)。つまり、ワタミを支配している会社の全株を持っている渡辺さんの資産はそっくり隠されてしまったというわけ。ちなみに、「アレーテー」が持つワタミ株の資産価値は約173億円らしい(右図と出典は読売新聞 2014年1月6日)。

これでは国会議員の資産公開には意味がありません。意図的かそうでないかは多少議論あるところですが、少なくとも渡辺氏の場合、結果的に制度の穴を使った資産隠しと同じ効果になっています。

ワタミは過酷な業務を強いるブラック企業だと云われていますし、実際に訴訟に発展しています。本当かどうかは外部の者にはわかりにくいのですが、先日渡辺美樹氏本人が某人生相談で答えていた内容を読んで唖然。ブラックだと云われるだけのことはありますね〜。

トンネル会社で資産隠しはどこでもある方法。法制度の抜け穴を使っている国会議員は渡辺1人ではないと考えられます。こんな穴は塞いで欲しい。そういう意味では穴の存在を顕わにしてくれた渡辺議員には(皮肉の意味で)拍手。

机の上に小さな虹

机の上に小さな虹