利益を出しても減益と囃し立てられるアップル

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appl1今朝NHKで「アップルが10年ぶりに減益」などと云うニュースを流していました。えっ、ホンマ?
つい数時間前に発表された四半期決算をチェックしてみると、利益がわずかに減り、利益率が昨年同期より減ったというだけ。利益がマイナスになったわけではありません。10年間も利益が増え続けてきたことの方が異様に思えてしまうのは私だけでしょうか。
だいいち年や季節によって売上のアップダウンはありますので、四半期毎での利益が変動する方が当たり前。それをわざわざ「減益」だと朝のニュースで報じるNHKの意図は何なのか?

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ジョブズさんが亡くなって今後のイノベーション展開に陰がさしてきた等、何とかいろいろ云われていますが、それでもしっかり利益を出している会社がアップル。

先の四半期決算の時は予想利益が少ない、あるいは利益率が下がった等と云われ、株価が大幅に下がりました。今回は株価それ自体に動きはなかったのに(むしろほんのわずかアップ)、NHKに「減益」などと云われるんですから、イジメみたいなもんですな〜。

アップルの凋落は本当に始まったのか。それとも一時的な調整なのでしょうか。

出典はYAHOO! Finance

出典はYAHOO! Finance

先日来、米国の株価上昇は米国景気の回復基調の反映で、その背後にはシェールガス革命がありそうだとお伝えしてきました。おそらくファンドや大口投資家はその「未来」に合わせて、昨年後半から銘柄替えを行っているところ。アップルは既に十分に利が乗ったため、ファンドの利確あるいは次の勝負の原資として活用されている最中ではないでしょうか。そして、大口の動きで急激に下がった株価に対し、小口投資家や個人連中が右往左往して売りに走っているのが昨今の株価ダウン。私はそういう風に眺めています。

アップルの適正株価がいくらなのか、私にはわかりません。でも跳ね騰がった株価は調整されるのが常。そして、騰がりが泡なら、その調整はかなり大きくなるのが普通です。

相場の世界では大きく株価が下がる時、

半値八掛け二割引き

という決まり文句があります。数値的には約三分の1になるということ。

これは日本株だけでなく、グローバルにも通用する言い回しだと私は思いますが、要するに気分や雰囲気などで株価が騰がった場合、約3倍になってしまう、この傾向はどこの国でもいっしょみたい。

アップルの株価でいえば、ピークが700ドルなので暴落すれば230ドルくらいが大底になりますが、もともと100ドルくらいから騰がっていったので、その差600ドルが泡だったとすると、300ドル位が大底です。現在400ドル前後をウロウロしていますから、もう少し下がるのではないかと観るのが相場眼(笑)。

出典はYAHOO! Finance

出典はYAHOO! Finance

いずれにしても、アップルの正念場はジョブズ亡き後の次の一手。画期的な新商品が出なければ、先に示した300ドルが見えてくるでしょう。残念ながら、それがお金を動かす人たちのやり口です。

面白いモノ役に立つ製品を提供する会社ということだけでは飽き足らず、常に利益が増え続けることを要求されるのは強欲金融主義の証しなのか。いずれ頂上がやってくる限り、そんな要求は何か理不尽な気がしますが、切ないもんですね~。

そして、そんな足を引っ張るような言い分をそのままメディアに流しているのがNHK。iPhoneを組み立てているのは台湾のフォンハイですが、部品は大部分が日本製。聞けば、アップルの注文管理はかなりキツイらしい。NHKの意図とは、日頃アップルにあれこれ管理されているように感じている数々の日本メーカーの肩を持ち、溜飲を下げさせることなのかもしれません。そのセコさこそ、国策放送の使命なのでしょうか。これまた哀しい話だなぁ。