うちの母は糖尿人

.Books&DVD… .Lowcarboあるいは糖質制限

うちの母は糖尿人この漫画本は、糖尿病になったお母さんとその家族の生活を娘(作者)が描いたものです。糖尿病という病気がいったいどんな病気なのか、家族はどう対処したらいいのか、そして偶然知った糖質制限で何とか毎日を愉しく乗り切っていく様が活き活きと展開されています。漫画なので気楽に読めますし、医学的な話は江部医師(京都・高尾病院)が簡単な解説を加えているので安心。難しい話はご勘弁という人にも気楽に読めます。

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ある日母が、「私、糖尿病になったかも」といいました。この漫画はそういう出だしで始まります。

言葉は知っていても、具体的にはどんな病気なのかわからない家族。どんどん悪化していくものなのか、一生治らないのか、毎日注射がいるのか、そんな疑問と不安がたくさん噴出。その後、いったい何を学び、どう生きていったのか、偶然知った糖質制限の効果はどうだったのか、興味深い話が漫画の中で展開されていきます。

伊藤きのとさん(作者)のお母さんは看護学校の教員で元看護師さんとのことですが、欲しいものも食べられないという従来のカロリー制限型の糖尿病食事療法を知っているだけに、自分が糖尿病になった時には落ち込んでしまいます。でも、お母さんのお母さん(作者のおばあちゃん)がたまたま高尾病院の江部医師を知っていたおかげで糖質制限に出会うのです。

糖質制限とは、ご飯、パン、麺類を止めるだけで、(糖質のない焼酎などの)お酒はオッケイ、お肉やお魚は自由に食べられるという食事療法です。それならやってみようということで、なんとか病気の悪化を防ぐことに成功しました。その経緯が漫画で活き活きと描かれています。

最後に「母が糖尿人になったおかげで、うちの家族はより仲良くなれたのかなぁ・・・」という作者の言葉が載っていますが、ご家族の辿り着いた境地をそのまま表しているのでしょう。素晴らしい!

漫画だから内容はどうかなと思っていた私ですが、私自身糖尿人に片足突っ込んだ状態のためか、なかなか教えられる所たくさんで読み応えがありました。

糖尿病と云ってしまうと何かしら病気のイメージで考えがちですが、実際には血糖値の状態でしかありません。おまけに糖質制限というライフスタイルを身につけてしまえばクスリもインスリンも使わずに済むことも多いので普通人と同じ。そのことがこの漫画からもよくわかります。既に糖尿病な人、ほとんど糖尿病な人、糖分過多な食事を繰り返して今後ヤバそうな人(この3者は40歳以上の3人の1人だと推測されています)、そしてそのご家族にお薦め。とくに糖質コントロールは家族の協力がないとできませんからね。