コレステロール値が高いほうが長生きできる?

.Lowcarboあるいは糖質制限

コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる (講談社プラスアルファ新書)前回の続き、脂質の話です。コレステロールについて、どうやら私たちは間違った常識を植え付けられてきたようです。

糖質制限についてあれこれ勉強をしていると、コレステロール悪玉説(またはLDL-コレステロール悪玉説)というのがかなり怪しいものであることがわかってきました。なぜそんな怪しい話が広まったのか、何故そのことを学者やメディアは伝えないのか。背後には製薬業界の思惑が潜んでいるようです。原発の危険性に頬被りしてきた構造と同じなのかもしれません。

・・・

糖質制限を始めるまで、私自身、卵の食べ過ぎは良くないとか、お肉の脂肪分は控えめにしよう、などと思っていました。糖質制限を始めると、どうしても脂質やたんぱく質を以前より多めに摂ることになります。でも、脂肪の摂り過ぎは健康に良くないのではないかという心配がありました。ところが、いろいろ調べてみると健康に悪いどころか、その反対という話もあり。

たとえば、コレステロール悪玉説(またはLDL-コレステロール悪玉説)というのがあります。コレステロールが高くなると血管にプラーク等を作り動脈硬化の原因になる、そうすると脳梗塞や心筋梗塞の危険性が上がってしまう、とくに肉類や乳製品等に含まれる飽和脂肪酸はコレステロール値を上げるので、できるだけ口にしない方がいいという話です。

動脈硬化性疾患を予防するためには、動物性脂肪やコレステロールの摂取を減らさなければならない、そういう話が広く受け入れられてきたのですが、最近、コレステロール値の高い方が「総死亡率」が低い、という調査研究が出てきました。また、スタチン剤はLDL-コレステロール値を下げるが心疾患予防には効果がない、という調査結果も出てきました。

先の本によると、コレステロールをたくさんとっても血液中のコレステロール値は上がらない、リノール酸を多く含む植物油を摂ると健康に有害、コレステロールの善玉悪玉説は根拠が崩れた、コレステロール合成阻害薬(スタチン剤)には要注意等々が指摘されています。

詳しい内容は、脂質栄養学会が発表している「長寿のためのコレステロール ガイドライン(2010年版)」をご覧になって下さい。このガイドラインを作成した委員会の長である浜崎智仁 教授(富山大学)がわかりやすく書き下ろしたのが、先に掲げた解説本です。こちらは科学的データを示しながらも一般向けにわかりやすく書かれています。とにかく、今までいろいろな場所で喧伝されてきた話と逆です。そのまま鵜呑みにはできませんが、一見の価値ありです。

残念なことに日本の動脈硬化学会や循環器系学会はそれら研究成果を無視したままで、脂質栄養学会のガイドラインに根拠のない批判を浴びせ、いまだにLDL-コレステロール悪玉説を支持しているという有様です。先の本の著者である浜崎氏は、コレステロール悪玉説の背後には医学界のお歴々と製薬企業との結託を揚げています。コレステロール値を下げるスタチン剤は全世界で3兆円、日本だけでも約三千億円の売上をあげているという超ド級ドル箱のクスリですから、製薬業界とそれに連なる権威筋が既得権を守ることに専心しているのでしょうか。そこには患者さんの健康や命を守るという姿勢はありません。そういう醜い関係はエイズや薬害の時の製薬業界との関係を彷彿とさせてしまいます。

メディアもコレステロール悪玉説から脱却できていません。たとえば、NHKは未だに「LDL-コレステロール悪玉説」を吹聴しており、「ためしてバッテン」でしかありません。まるで、原発安全神話をメディアが定着させていったのと同じ構造を感じてしまいます。いやですね〜。

ポスト311で明らかになった、テレビや新聞を信じるなという格言は糖尿病やコレステロールでも存在するようです。長生きしたい人は是非浜崎さんの本をご一読下さい。