いじめと犯罪

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他人に暴力をふるうのは暴行、他人のモノを盗むのは窃盗、暴力等で脅して金品を奪うのは恐喝といいます。ところが、学校で子どもが子どもに対して行った場合、学校はそういう犯罪名称を使わず、すべて「いじめ」にしたがります。こどもの未来に配慮しているのはわかりますが、度が過ぎるものまで「いじめ」として扱うのは、教育者の責任放棄でしかありません。大津市中学生自殺事件の続きです。

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昨年10月に大津市のある中学生がマンションから飛び降り自殺しました。この時の警察の対応には不審点が多く、ホンマに自殺かどうかもはっきりしませんが、それはさておき、

事件後、学校が全校生徒にアンケートをしたところ、多くの生徒が「いじめ」について証言しました。曰く、殴られていた、万引きを強要されていた、あるいは自殺の練習をさせられていた等々、オゾマシイ話がいっぱい。

ところが、学校側はそれら証言を「伝聞」に基づくものが多いという理由で調査しませんでした。生徒らが思いを込めた回答を無視した学校への不信感の大きさを、学校や教育委員会は理解していないようです。

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今回の件が全国的に大きな話題となったのは、1つは問題の中学校や大津市の教育委員会がアンケート問題を含め、本当のことを伝えていなかったこと、あるいはウソをついていたこと。加えて、学校や教委の言い訳が無責任で卑劣だったこと、そして当局の対応に納得しなかった被害者の親が裁判に訴えたことなどでしょう。

また、別の大きな要因として、某テレビが放映したアンケート文面の映像から、加害者らしい生徒の名前が判明してしまったことをはずせません。すぐさま加害者の親・親族の一部が特定され、その情報はネットで一気に広がっていきました。オトナ社会への怒りや不信感でいっぱいの、ネット社会の住人たちがネットポリスのごとく、加害者追及に取り組んだというわけです。

学校側の不手際やアンケートの取り扱いのまずさ、教委や警察の不作為、あるいは加害者の親の中にPTA幹部や市審議会の顔役がいることへの疑問、不審な警察の捜査等々、この事件には不可解なことが多すぎます。

ネット情報の不正確さや拡散の是非については今後大きな検討課題になるでしょう。でも、学校側が生徒の信頼を裏切り、世間の不信感が高まってしまった以上、ネットで噴出した疑問を1つ1つ解消していく調査こそ、市側に求められているのではないでしょうか。

大津市の中学校の事件は、いじめというより明らかな犯罪行為。傷害や死に至るような行為まで犯罪ではなく「いじめ」として扱えば、加害者側はどんどん増長していくでしょう。それは非常にまずい。誰のための学校なのか、教師や教委は再考してほしいものです。

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