再生可能エネルギー買い取りスタート その意義は?

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今日7月1日から、太陽光発電(ソーラー発電)や風力発電などの再生可能エネルギーを電力会社に買い取らせる「固定価格買い取り制度」が始まりました。この制度によって一般家庭の電気代が平均で87円程度上がる等とし、御用メディアは値上げを強調するかのように喧伝しています。でも、その意義については正確に伝えようとはしていません。ひょっとすると、ホンマに何も理解していないのかな〜?

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まず、料金に関する誤解を解いておきましょう。
テレビや新聞の説明を聞いていると、今回の買い取り制度によってソーラー発電や風力発電を採用した団体や組織が得をして、何もしていない者は何か損をするような雰囲気に受け取れます。もしそう考えた人がいたら、それは全くの誤解です。

というのも、電気料金が上がるのはすべての使用者(消費者)であり、ソーラー発電などをやっていようがいまいが区別はありません。みんながみな料金値上げの対象なのです。

次に、電気料金が値上げされる理由について。
7月1日以前でも一般家庭の屋根の上にソーラー発電設備を設置して電力会社と契約を結べば、電気の買い取りは可能でした。だから、そういう家庭にとっては昨日までと今日からでは何の違いもありません。じゃ何が変わったかというと、これまで電力会社が買い取りを渋ってきた中型大型の発電設備からの電気まで買い取り対象に含めたのです。これにより、電力会社はメガソーラーのような大型発電から、空いた田畑やビル屋上、あるいは工場で行うような中規模発電、そして一般家庭の発電まで区別無く買い取ることになりました。(注)

買い取り価格はソーラー発電でkW当たり42円なので(今後の新規参入や広範囲な普及を期待した価格設定)、現在の料金よりも高め。電力会社がその分をすべての消費者に転嫁するため、料金値上げに繋がっているというわけです。

ということはどういうことなのか。電気を使う私たちみんなで再生エネルギーによる電気の創出を支えているということ。ソーラー発電するのであれば初期投資が必要ですが、そこまでしなくても、電気料金のわずかなアップということで、すべての使用者が再生可能エネルギーの利用促進に関わっているということなのです。

ところが、そういう動きが気に入らない人たちは日頃から飼い慣らしているメディアや評論家みたいな連中を使って、一部の者が発電したものを、みんなでいやいやながら負担しなければならなくなったという雰囲気を作り出したいらしい。それが消費者に困惑をもたらす電気料金の値上げというニュースの背後にあるのではないでしょうか。

そんな後ろ向きの考え方に幻惑されることなく、電気を使う私たちみんなでソーラー発電などの再生可能なエネルギー利用を進めていこうという今回の制度を理解して下さい。それがすなわち化石燃料や核燃料による電気からの脱却に他ならないのです。

ちなみに、この買い取り法案は菅前総理が自分の首と引き替えに成立させたもの。3.11や原発事故対応ではパニックってしまい何かと評判の悪い菅さん、この電力買い取り制度については彼の功績をもっと褒めていいと私は思いますが、御用メディアでは触れようとはしません。残念ですね〜。

(注)風力発電については事情が厄介。北海道電力や東北電力では買い取り上限を設けているので、制度開始7月1日現在で既にほとんどが詰まってしまい、新たな風力発電からの買い取りは難しくなってきています。全量買い取りといっても看板に偽りありでは、再生エネルギー推進という国の説明は怪しくなってしまいます。