緑ざわめく

.EcoStyle

今年の緑はとってもきれい。ここ10数年来で一番でしょうか。どこもかしこもざわめくように美しい。
なぜこんなにきれいなのか。温度? 湿度? わかりませんね。琵琶湖の周りでは昨冬の湿度がそれほど下がりませんでしたが、他の地域もそうだったのかどうか。それにしても、ホンマに美しい。

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今年の緑がきれいに見えるのは、昨年の大震災と原発事故で気持ちに余裕がなかったせいで、昨年の緑の記憶がないというのもあるのかなぁ。でも、それを割引いてもやはり今年の緑は美しい。

今年の緑はまるでヨーロッパの緑と同じ雰囲気だなぁと思うことしきり。深みがある緑と新緑の緑が混在して、緑の動勢というか、ざわめきを感じさせてくれるからです。ちょうどチューリッヒからインスブルクへ向かう山間列車から見える緑の、私が一番気に入っている緑の色によく似ています(褒めすぎか)。

蛇足ながら、ヨーロッパの緑は日本よりもビビッドな期間が長く続くこともあってか、人々の馴染みもよく、服の緑色にもバリエーションが多い。あちらに行くと素敵な緑色のセーターをたくさん見かけるので、どれを買おうか、いつも悩んでしまいます。

既に比良山系の緑についてはアップしていますが、ここでは2枚別の写真をあげておきましょう。

1枚目は拙宅のキンメツゲ。うす黄緑色の新芽がふいて小さな小さな花の蕾がその下にひっそり。遠くから見ると、まるで生け垣が泡だっているような感じすらします。萌えるとはよく云ったものだわ。

2枚目は加賀温泉あらや滔々庵の中庭に生えているカエデ。陽の光が上から当たっていますが、こちらから見えるのは葉の裏側がほとんど。ただ、その葉っぱの重なり部分の緑色が濃く映り、幽玄な感じでざわめいています。ずっと眺めていると、まるで精霊が季節の到来を嬉々としているような感じすらしてきました。愉しいねぇ。

このカエデを見た時、思い出したのが東山魁夷さんの白馬シリーズ。魁夷さんの絵は心象風景だとばかり思っていましたが、現実にああいう色の重なりって、こんな風に現実にあるんですね〜。「絵のような写真」を撮る機会にめぐり逢うことができ、感謝です(って、誰に?)。