正しく怖がる? 避難基準の違い (追加説明)

.opinion .お知らせ 3.11

先に書いた「正しく怖がる? 避難基準の違い」について、ネットで私の説明を拡大解釈するような話が出回っているので、追加で説明させて下さい。

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取り上げたのは、ウクライナの法律による避難基準でした。そこで説明したように、

  • それぞれのゾーンはセシウム137やストロンチウム90等による土壌の汚染度によって区別され、
  • 被曝線量はそれに応じて想定されるものです。

(出典は「チェルノブイリ事故による放射能災害」今中哲二編(技術と人間 1998)

つまり、セシウム137やストロンチウム90の土壌汚染がかくかくしかじかであったら移住の権利が与えられるというのがまずあって、その場合の被曝線量はXXミリシーベルト以上になるだろうという話であって、被曝線量がいくらだから、それに応じた権利が与えられるというのは正確な解釈ではありません。

実際のところ、土壌汚染の数値を被曝線量に換算するにはいくつかの仮定と複雑な計算、それに実際の土地利用形態に基づく実測値などが必要です。表にある被曝のミリシーベルト値は、チェルノブイリ原発周辺に関しての換算になります。

厳密にいうなら、土壌汚染密度と1年の被曝線量との関係が福島の場合どうなるか、これは測ってみなければわかりません。したがって、実際の現場で被爆実態の測定データを集めて判断すべきものだと考えられます。

なお、元文についてはウクライナの避難基準に関する表を入れ替え、解説を少し追加し、改訂版としましたのでご了承下さい。