放射能汚染は全国へ飛び火

.opinion 3.11

東京の水道でヨウ素131が高濃度で見つかった時に予想されていた下水汚泥への汚染。昨日辺りから報道され始めています。水道汚染の時点でダイヤモンド誌が最初に指摘していたように記憶していますが(4/16日号)、報道が云わないこと(知らないこと?)が1つ。

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たとえば、昨日時事通信は「県中浄化センター(郡山市)で発生した下水汚泥から1キログラム当たり2万6400ベクレルの高濃度の放射性セシウム」、「汚泥を減量化処理してできる「溶融スラグ」からは1キログラム当たり33万4000ベクレルが検出された」と報じました(時事通信 2011/5/1)。

これらの下水汚泥はセメント製造に使われていたり、煉瓦や土壌改良用資材に活用されています。そして、「現行の下水道法は、汚泥は積極的に再利用するよう全国の自治体に求めている。国交省によると、全国で発生する汚泥の8割は建材などに再利用され、残り2割ほどが埋め立て廃棄されている」(朝日新聞 2011/5/2)とのことですから、見つかった以外にも汚染が全国へ広がっているとみるべきでしょう。

厄介なのは下水汚泥の行き先がはっきりしないこと。つまり、下水処理場から出てくる汚泥というのが、いったいどこに運ばれ、どこでどんな処分がされているのか、昔から業界の秘密になっています。過去に暴露されたことをつなぎ合わせると、下水汚泥の処分に関しては全国自治体のクロスオーバー状態で捨てられているのが実態のようです。たとえば、神奈川のモノが関西へ持ち込まれたり、滋賀県のは信州関東方面へと運ばれていたりするのです。それぞれ自分のところへは捨てにくい事情があるのでしょうが、請け負った業者が全国全土でばらまいていると云っていい。

いずれにしても、下水汚泥や放射能汚泥入りのセメントや煉瓦、土壌改良用資材は全国津々浦々へ広がってくるでしょう。ひょっとするとあなたの近隣の場所かもしれない処へ運び込まれるかもしれません。つまり、下水汚泥やその再利用というカタチをとって東電・福島第一原発の放射能汚染が日本中へ広がっていきはじめたということ。被害が顕在化しない限り「安全」だと言い張る人は多いのでしょうが、これを安全というのは私には無理です。

ついでながら、震災のがれき等を各地の廃棄物処分場で受け入れるという話が出ていますが、これが放射性廃棄物だとしたら問題は深刻です。普通のガレキに混ぜてしまえば、測定しない限り誰もわかりません。放射性がれきの問題はこれからですが、国が勝手に法令をいじって放射能汚染を全国化する危険性に要注意。