地球を歩くふり?

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A11 地球の歩き方 ミラノ、ヴェネツィアと湖水地 2010「地球の歩き方」が面白くない。80年代くらいは読者の投稿で有益かつアヤシイ話満載が売りだったんですが、今はもう普通のガイドブック。

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思うに、経営がダイヤモンド社に変わり、編集方針が一般受けするものになったのでしょうか。あるいはパッケージツアー客向けの情報本の方が売れるからそうするのだ、というスタンスになったのかもしれません。でも、その反面、未知の場所での発見とか方向性の定まらない面白さという旅行本来のワクワク感とか醍醐味に欠ける内容に変わり果てました。少なくとも私はそう思います。

さらにここ最近気づいたことは、当然載っているはずと思われる場所が「地球の歩き方」にない! たとえば、北イタリアのピエモンテについて調べようと思ったら、「イタリア」本にはトリノしかなく、北イタリア本にいたっては影も形もありません。あんら〜。

ピエモンテといえば、バローロやバルバレスコという美味しいワインを作り出す場所で、フランスやスイスとの境にあって美食の州なのに…。何だ、これ。誰も行かないのかなぁ。そんなことないよね。イタリアンの修行する人なら当然行く場所みたいだし。そういえば、ボーヌについても「地球の歩き方」では寂しい限りでしたしね。なぜでしょ?

昔は個人旅行を積極的に支援してきた「地球の歩き方」でしたが、大都市やパッケージ旅行からはずれた場所に行こうと思ったらほとんど使い物になりません。いつのまにか旅行会社の商売のために「地球を歩くふりをする」本に成り下がったのかなぁ。

この国の右肩上がりが消え、停滞そして退廃していくのと基を一にするような感じで何かイヤな感じ。物事すべて、勢いや多様性がなくなってくると末期症状ですな。