言語の傲慢

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Lonely Planet Italyズーリックって知ってます?  ネイプルズは? トリンは? 
ピエモンテのガイドを探していて英語のロンリープラネットに当たりました。そこにはちゃんとアルバやアスティなんてピエモンテの案内があるのですが、別件で気になることも出てきました。それが英語の読み方に関すること。

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最初にズーリックって聞いた時はいったいどこのことって思いましたね。スイスのチューリッヒのことですが、Zurichを英語で読むとズーリックというわけです。

つい最近イタリアを調べていると、ネイプルズとかトリンってのも出てきました。あれっと思っていると、ナポリとトリノのことですわ、これ。ミラノがミラン、トリノをトリンはまだわかるけど、ナポリをネイプルズというのはちょっとね〜〜。

ひどいのは綴りまで作り替えてしまうヤツ。ベネチア(英語ではベニス)の近くにパドヴァという町があるのですが、podovaが読みにくかったのか、それとも昔の因縁なのか英語ではパドゥーアで、綴りも変えてpodua。初めて知った時、別の町のことなのかぁと思ったくらいです(苦笑)。まぁヨーロッパを見渡せば、こんな話はいっぱいでしょう、きっと。そんなこんなで英語と現地語との剥離は大です。

そういうことから考えると、明治時代の日本人たちは偉かった。ヨーロッパの都市名を英語で読まず、できるだけ現地語の発音で読んでいたからです。だから、私たちはズーリックじゃなくチューリッヒだし、ネイプルズじゃなくてナポリって云うわけです。福沢翁なんかに感謝しなければなりません。

蛇足ながら人名はちょっと変。画家のファン・ホッホはいつのまにか「ファン・ゴッホ」というどこにも存在しない日本だけの発音に変化しちゃいましたけど(笑)。ちなみに英語ならヴァン・ゴークとかゴック。変でしょ?

英語ってホンマに傲慢な言葉ですわ。ついでにいえば、日本が韓国や中国の地名人名を勝手に日本語読みしてしまうのも同じ(で傲慢)。英語が使えないとビジネスができないというのはわかりますし、昨今それを社内公用語にしようという会社があるのもわかりますが、地名人名をも作り替えてしまう言葉だということを覚えておかないと自分も傲慢一派の一員になりかねません。ご注意を。