音声記録〜日航123便墜落事件の闇(5)〜

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今回は、日航123便の音声記録(CVR:操縦室用音声記録)、いわゆるボイスレコーダーについて考えてみましょう。もしも音声記録にあなたの属する組織にとって極めて不都合な事実が録音されていた場合、あなたはどうしますか?
  (A) 音声記録を全部聞けるように公開する
  (B) 都合の悪い箇所は聞き取れなかったことにして、「テープ起こし」の文字だけ公開する
  (C) 音声記録はいっさい公開しない
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「テープ起こし」とは、録音テープを聞き取ってその内容を文字にすることです。日航123便の航空事故調査報告書(*1)には音声記録の「テープ起こし」だけが記載され、音声記録そのものは公開されていません。

青山透子氏は著書(*2)の86ページで、音声記録の調査担当者は自衛隊の職員と記載されています。航空事故調査報告書(*3)を見てみると、本文の2ページ目に音声記録の調査担当者として航空自衛隊の視覚聴覚研究室の室長と職員の氏名が記載されています。つまり、自衛隊研究室職員が音声記録の調査を行い「テープ起こし」したものが航空事故調査報告書(*1)のp309〜p343に掲載されているだけです。

「日航123便墜落事件 JAL裁判』(青山透子著、河出書房新社)

墜落事件を解明するために音声記録とフライトレコーダーは最も重要であり、利害関係者を調査担当にするべきではありません。垂直尾翼の中央に着力した「異常外力」を考えると、自衛隊関係者は利害関係者であり、調査担当には不適切です。自衛隊関係職員を調査担当にしたら、自衛隊にとって不都合なことは削除したり改竄したりする可能性は十分にあると考えられます。

真実を明らかにするためには、「テープ起こし」ではなく、録音テープの一部でもなく、音声記録の原本全部を公開する必要があります。そして、音声記録の調査は、利害関係者でない専門家が複数で行う必要があります。

日航123便の音声記録とフライトレコーダーは、航空事故調査委員会の調査が終了した後に日航へ返却され、日航が保管し、いっさい公開していません。このため、日航機墜落で死亡した乗客の奥様と日航機の副操縦士のお姉様は、日航に対して音声記録とフライトレコーダーの開示を求めました。

でも日航が開示を拒否したため、日航に開示を求めて裁判を起こしました。その裁判を記録したのが青山透子氏の著書(*2)です。裁判では原告の請求を棄却する判決が出ました。要するに日航も裁判所(国)も何かを隠しており、音声記録やフライトレコーダーには広く知られたら困る内容が含まれているからだと考えざるをえません。(IZ)

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出典
(*1) 国土交通省:航空事故調査報告書(昭和62年(1987年)6月19日) p309〜p343
   https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/download/62-2-JA8119-11.pdf
   https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/rep-acci/62-2-JA8119.pdf

(*2)「日航123便墜落事件 JAL裁判」(青山透子著、河出書房新社)電子出版

(*3) 国土交通省:航空事故調査報告書(昭和62年(1987年)6月19日) p2(本文の2ページ目)
   https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/download/62-2-JA8119-01.pdf
   https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/rep-acci/62-2-JA8119.pdf