2022 サービスアワード

.Travel & Taste

一ヶ月前、何気なくネットニュースを見ていたら、11月にミシュランガイド京都・大阪2023が発行されるとのこと。その発表の中に聞き慣れないサービスアワードなる賞あり。それもその筈で、日本人でこの賞を受賞したのは現時点でまだ2人だけという稀少な賞らしい。そして、この賞を今回受賞したのは美山荘の女将さん。日本のミシュランも粋なことをするなぁ。

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美山荘は京都の北の山間にある小さな宿で、本サイトでも取り上げてきたお気に入りの場所。まるで時間が止まっているかのような空間に佇むと現世の悩みなど洗い流されるような、そんな不思議な場所です。

私が美山荘を知ったキッカケは昔のTV番組でした。その中で、先代の女将さんが宿近くで摘んだ山野草や野花を活けたり、今日のお客さんにはどんな掛け軸が良いだろうかと考えながら掛けておられるシーンがありました。

へぇ〜、そこまでする旅館があるのか!と驚くとともに、こんな宿に泊まる人はどんな人たちなのか、私でも泊まれるのか、お代はどれくらいか等々・・・と考えた記憶がありました。

それから約20年後、私たち夫婦が美山荘を訪れたのは5年前の秋。その後も何度か訪れ、印象を本サイトで紹介してきました。

この宿の女将さんである中東佐知子さんがサービスアワードを受賞されたというニュースを知り、宜なるかなと思ったのは私たち夫婦だけではない筈。この宿で寛いだ経験がある方なら皆「そうだそうだ」と同感するのではないでしょうか。

老舗旅館の女将さんには落ち着いた風格ある佇まいの方や肝っ玉母さん風の方など、いろんなタイプあり。その中で美山荘の女将さんは親近感の中でも気配りをたやすことなく自然な応対に優れ、サービスの極致を体現しているような方で、映画「若おかみは小学生」で描かれた世界がそこにあります(だからこそジブリ系がモデルにしたのでしょう、きっと)。

日本のミシュランはぐるなびが本家から権利を入手して展開しているためか、レストランの☆評価の際のサービスの比重が本家フランスより甘いのでは?と思われる事例があります(私見)。でも、昨年は東京のレストラン「オマージュ」のマダム、今年は美山荘の女将さんが「サービスアワード」を受賞され、やっと日本でも「真のサービスに対する評価」に光が当たり始めたのなら拍手。素晴らしいサービスをされる方々を紹介するという素敵な試みは是非続けて欲しいものです。