映画 ラセター 襖絵
2020/06/25
以前、漫画映画「若おかみは小学生!」について触れました。映画のパンフレットで美山荘の女将さんがご自身のお仕事に触れているのを知り、後日肝心の映画を観た感想でした。今回はその後日談。
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美山荘は京都の一番北、北山杉が林立する花脊の里にあるお宿です。例に漏れず今回のコロナ禍でごっそりお客さんが減ってしまったとか。でも、その代わりというか、経済再開とともに今夏はいつもより予約が入っているそうな。必ずしも外国人を相手にしているわけではないので強いといえば強い。
その美山荘に1年振りで出かけてきました。数寄屋造の室内にはテレビはなく、エアコンも壁や天井に隠され、ぱっと見た限りでは現代的なものがありません。場所は京都市左京区でありながら人里離れた山奥なので、人や車の音等の生活騒音はなし。おまけにお風呂や摘み草料理、そして宿の気遣いが異次元に素晴らしい。
初夏の緑を前に部屋でつくろいでいると、モリアオガエルやカジカの鳴き声。いったい此処はどこなのか、いつの時代に自分が居るのか、時間と場所の感覚がすっかり消えてしまいます。うまく表現できませんが、現代版の桂離宮に泊まるような感じ、といえば大袈裟でしょうか。
さて、映画「若おかみは小学生!」。女将さんに、あの映画見ましたよと話を持ち出し、「ラセター、此処に来たんですって?」と振ると、「そうです、そうです、宮崎駿さんとごいっしょでした」とのこと(注)。噂通りでした。
女将さん曰く、「宮崎さん、ずっとデッサンされていて、立ったり座ったり、こちらもいろいろポーズをさせられました(笑)」と、楽しそうに記憶を辿っていらっしゃいました。どうりで、映画で活かされているんですね〜。
そして、もう1つの疑問。あの映画に登場する襖絵が美山荘にあるのかどうか。これについてはあっさりと「ありません」。これで昨年来の疑問が解消。
美山荘には季節感や絵柄に凝った襖絵がいろいろあるので、映画に出てくる襖絵があってもおかしくないと思っていましたが、あの紅葉が花のように咲き乱れた絵柄は高坂監督か宮崎さんか、それとも関係スタッフのアイデアなのかもしれません。
世の中には美味しいレストランいろいろ、寛げる宿もたくさんありますが、加えて時間と空間の感覚が曖昧になる不思議な宿が美山荘です(私が知る限り、という前提で)。
季節はもう夏、暑い熱い夏はもうすぐ。新型コロナウイルスは消えたわけではなく、とくに東京辺りではまだウヨウヨで注意が必要ですが、それでも少しずつ社会が動き出しているのが有り難い。
(注)ラセターはピクサーの元CEO。ピクサー(Pixar)は故・スティーブ・ジョブズが率いたCGアニメ専門会社。そのラセターはMeToo運動の影響なのか、社員へのセクハラ騒動で数年前に退社しました。私自身は以前Pixar社のMacRenderManの使い手でしたが、ジョブズがアップルに戻ったあとに門外不出になってしまい使うのを断念しました。そういう個人的思い出あり。