噂通りの乳頭温泉

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全国各地で大雨が降ったりしていますが、お変わりございませんか。こちら、びわ湖の周りでは急に涼しさが増してきました。さて、今年は連れ合いの自由度が増えたため、先月後半にいつか行きたいと思っていた温泉の第二弾、秋田の乳頭温泉へ。山間に佇む宿の風情、正真正銘の源泉掛け流し、泉質も良く、噂に違わず素晴らしい温泉を堪能しました。

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秋田県の乳頭温泉郷は田沢湖の東の山間、標高800mの地にあります。最寄りの鉄道駅はありませんから、バスや車で向かうことになりますが、ファンがひっきりなしに訪れる人気の温泉らしく、宿はこの時期でも賑っていました。

まず温泉の質。全国各地の温泉の多くは循環式で塩素消毒を行っているのが最近の実情で、まるで温水プール。湯量が限られていたり、過剰に安全性を求める保健所などの指導の結果なのでしょうか。そんな中、乳頭温泉はどこも源泉掛け流し。

それだけでも素晴らしいのに、湯巡り帖を使えば温泉郷にある宿の露天風呂をあちこち楽しむことができます。この仕組みは黒川温泉の成功に学んだとのこと。こちらは2泊してあちこちの宿の温泉巡りを楽しんだ次第です。

宿に選んだのは鶴の湯。以前から行きたいと考えていた処です。乳頭温泉には今風な感じの宿から昔ながらの秘境の宿までいろいろありますが、鶴の湯は歴史が古く、昔の湯治宿の趣きを残した処。いわば温泉宿の原点みたいな感じもあって超人気で、平日でもなかなか予約がとりにくい。こちら日本秘湯を守る会のサイトから空いている日を選んで出かけました(湯巡りをした後でいえば、黒湯温泉も面白そう)。

まるで座頭市でも出てきそうな、昔の湯治宿の雰囲気が残っています。宿の帳場(フロント)はこの奥。

印象をひと言でいうなら、噂に違わず鶴の湯の温泉は素晴らしい。泉質の違う内湯が男女別に数カ所あり、混浴大露天風呂以外に女性専用の大露天風呂と小露天風呂もあり。その上、貸し切り風呂も数カ所あるのが有り難い(空いていれば無料で使える)。チェックイン時に説明のなかった小さな露天も良かった(お部屋の案内にもなかったので新設なのかも)。

鶴の湯で一番小さな、小川べりの貸し切り露天風呂。お部屋の案内にはなかったので最近作ったのかも。

また、一番大きな、雑誌によく載る混浴露天風呂はお湯が白濁しているのでいったん入ってしまえば顔以外は他人から見られる心配なし。出入り口も女性に配慮した作りになっています。実際、何組ものカップルが楽しんでいました。

女性1人の場合には細心の注意がいるのでしょうが、ワニが潜んでいるような場所ではありませんし(笑)、ボディガードの男性付きとか、昼間に女性グループで、とかならまず心配はないでしょう。宿の人も脱衣所の掃除がてら頻繁にチェックしていましたので安心です。

強いて言えば、食事は料亭旅館の食事とは違い、質より量という感じ。まぁここは湯湯治がメインですし、お値段を考えると仕方なしでしょうか。でも、三泊くらいの連泊なら食事内容が変わるのはマル。

この宿、7月に訪れた時には山歩きをする人たちが泊まっていたり、老若いろいろなカップルがいたり、バイクツーリングで立ち寄った人がいたり、と様々な客層で賑わっていました。泊まってみると、なぜこの温泉が人気なのか納得できた次第です。源泉掛け流しで楽しめる宿が減ってきた現在、黒川温泉といい乳頭温泉といい、温泉の原点をしっかり堅持する処の存在価値が増してきたといえるのかも。

温泉に地ビールはよく合います。