80年前と今

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ロシアのウクライナ侵攻いまだ止まらず。ソ連帝国復活を目論む独裁者プーチンに西側諸国からの批判が続く一方で、ロシア国内の支持率は8割?。その高支持率は本当なのか情報操作なのか。それとも強い国を好み、見たくないものは見ない心情なのか。一方で、なぜプーチン排除の動きがロシア国内で出ないのかと思う人は多いはず。でも80年前の日本を思い返せば、現在反戦運動などが起きているロシアの方がマシ・・・と思わざるを得ません。

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プーチンを爬虫類のようだと評したのは故・オルブライトさん(元米国国務長官)。2000年初頭に会談したときの印象でした。加えて、「(中略)ロシアの偉大さを回復する決意をしている」とのこと。まさにこの推測を証明したのが今現在。

そのプーチンの支持率がロシア国内で8割前後とか。ホンマでしょうか。いくら情報操作されているとはいえ、ボーダーレスなネット社会だから海外情報を入手するのはそれほど難しくない。だから自国ロシアが何をしているのか、ウクライナへの侵略行為が各国でどう報じられているのかを知るのはそれほど難しくありません。

実際にロシア国内で反戦デモがあるのは、ロシアの理不尽さを知っている人がそれなりにいる証拠。ただ反戦デモをしたり当局に不都合な話をしたら、かの国では懲役・懲罰刑ですから、反戦デモも本当に命がけ。

そう考えると、8割という数字自体、ロシアの発表で洗脳プロパガンダかも。8割8割と無批判に使うなら私たちも情報操作されていることになってしまいます。とにもかくにもロシア関連情報というのはマユツバ含め要注意。

こちら、この戦争が始まるまでロシアが侵略戦争を起こすなんて本当は起こらないだろうと能天気でした。でもプーチンの時計が1990年辺りで停まったままなら十分あり得る話。先のオルブライトさんの話もまさにそのことを指しています。それにしても、国連安保理常任理事国の1つである国が21世紀の今、戦争するなんて、国連という組織とは幻だったことを証明してしまった感あり(愕然)。

さて、他国を侵略し残虐非道な殺戮を続けるプーチンがなぜロシアで排除されないのか。軍隊が非道な国際法違反を犯しても、なぜ問題なしとなるのか。そのことがずっと気になっていましたが、80年前の日本を思い起こせば、さもありなんと腑に落ちました。

『現代語訳 暗黒日記』 (清沢洌 東洋経済新報社 2021)

そうです、日本が大東亜戦争と称した第二次世界大戦の頃です。当時、軍部と一体化した東条英機内閣が無謀な戦争に突っ込んでいっても、国民のほとんどはマヤカシの大義や大本営のウソ情報を信じ、戦争を食い止めようと云う動きは皆無に近いほどありませんでした。

もちろん、戦争はおかしいと考えた人はそれなりにいたでしょう。当時の良識派の日記を読むと声には出さずとも戦争に異を唱える人はそれなりにいたことが窺えますが、主流は戦争イケイケ派。東条や軍部、それに追随する文化人という構図は今も昔も同じ。

当時の日本では今のロシアのように各地で戦争反対のデモというのはありませんでした。また、政治的にも東条打倒という話にはならず、むしろ東条では生ぬるいと考える全体主義者側からのクーデターがいくつか計画されていた位です。


何故かという論考はいろんな文献に出ているのでそちらに任せるとして、国は大本営による情報操作だけでなく地域の自治会組織に至るまで国民を洗脳していたので、国民には戦争への異議や負け情報は伝えられず、負け込んで隠せなくなっても、勝つまでやるっ! 玉砕・本土決戦だ、とまで扇動される始末でした。

まさしく現在のロシアでも同じような心理が働いているのでしょう。だからプーチンの支持率が8割なんてことになるわけ。その洗脳が解けるのかどうか。昔の日本のように敗戦まで続くのか。どちらにしてもロシアの侵略が1日も早く頓挫してウクライナから撤退することを願っています。ウクライナ人やまともなロシア人の今後に幸あれ。