冠を壊せ! 新型コロナウイルスを狙い撃ちする抗体を開発!

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今朝ニュースサイトを覗いたら、ブルーンバーグ誌に「新型コロナ、オランダの大学がモノクローナル抗体の作成に成功」との記事あり(Bloombergの記事はこちら)。オランダの研究チームに拍手。

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5月4日のNature誌に「オランダのユトレヒト大学の研究チームが、新型コロナウイルスを阻害・中和できるモノクローナル抗体を作ることに成功」との記事が出ました。まだ研究室レベルでの抗体作成なので、実際の治療や予防に使えるようになるのはまだまだ先になりそうですが、未来に光明が見えてきました。(Natureの論文はこちら)。

少しわかりやすく解説してみましょう。私たち人間は、ウイルスや細菌などの異物が外界から体に入ってくると、ウイルス表面にある幾つもの抗原に対抗する抗体を体内で作り出して、ウイルスや細菌などをやっつけようとします。この時に産生される抗体は多種類(ポリクローナル)です。

一方、今回ユトレヒト大学の研究グループが開発したのはモノクローナル抗体。新型コロナウイルスに特異的な抗原に対して、単一の抗体を実験室内で作成したというものです。イメージとしては、新型コロナウイルスのコロナ(冠)を狙い撃ちする抗体、という感じでしょうか。

冠(コロナ)を壊すことで病原性をなくすという方法を最初に読んだ時、中世の王制(王様の冠)を市民革命でぶっ壊すという革命みたいなアナロジーを感じたのは私だけでしょうか。

なお、今回のユトレヒト大学の報告では、今回のモノクローナル抗体「47D11」は新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2だけでなく、SARSウイルスにも効果があるという結果が実験室内で得られた、としています。

ところで、モノクローナル抗体の作成方法は、1975年にジョルジュ・J・F・ケーラーとセーサル・ミルスタインが発明した技術です。彼らは1984年にノーベル生理学・医学賞を受賞しており、この作成方法は世界各国の研究室が共有し進化させています。今後はオランダのユトレヒト大学だけでなく、世界各国の大学・研究所から独自のモノクローナル抗体を作成した、という報告が相次ぐのではないでしょうか。そういう意味でも今回の報告は厳しい状況を打開する先鋒と云えそうです。

気になるのが、モノクローナル抗体の値段。今まで多くのモノクローナル抗体がいろいろな病気に対して開発されて病気治療に役立っていますが、極めて高価な値段がついているものが多いのが実情です。この度の新型コロナウイルスSARS-CoV-2に対するモノクローナル抗体は世界中で多用される可能性がありますので、価格はできるだけ低く抑えていただきたいものです。

さて、このようなモノクローナル抗体を有効に活かすためには、感染者の実態をきちんと把握しておくことが基本です。したがって、今後の道程としては、

1)抗体検査とPCR検査を大規模に行って、感染の実態を明らかにする
2)イベルメクチンなど安全性の高い薬の治療効果が証明されたら、初期治療に使用する
3)初期治療で改善が得られない場合は、モノクローナル抗体での治療などを考慮する
4)抗体のない医療関係者などに対する予防対策として、モノクローナル抗体を考慮する
5)有効性なワクチンが開発されたら、大規模な予防治療を行う

ということが考えられます。今回のモノクローナル抗体の研究の進展を心から願う次第です。