WHO can help? 台湾からのメッセージ
2020/04/16
4月14日米国のニューヨークタイムズ誌に「WHO can help? 」というタイトルの一面広告が出ました。クラウドファンディングで集めたお金を使い、世界中の連帯を呼びかけ、台湾の貢献を世界中に示す内容です。タイトルからわかるように、強烈かつキワドイ洒落を効かせたものになっているのが台湾の矜持です(WhoではなくWHOであることに注意)。お詫び:テドロス氏は事務局長でした。
・・・
この広告の前に予備知識を1つ、最近起きた「ある事件」をご存じでしょうか。それはWHO(世界保健機関)から台湾に向けられた謂われ無き攻撃です。
台湾は9日、WHO〔世界保健機関)のテドロス事務局長が「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)への対応をめぐり、自身に対する個人攻撃とWHOに対する批判を台湾政府が主導していると非難」したことに対し、謝罪を要求しました。
このゴタゴタの最中に何ケンカしてんねん、と最初は思いましたが、どうもこの問題は根が深い。当初、中国が後にCOVID-19と呼ばれることになる感染事件の発生やその危険性を指摘した医者らを拘束したり、クチ封じで隠蔽しようとしていたのは既に明らかになっている通り。(中国がWHOへ原因不明の報告をしたのは昨年12月31日、台湾も同日中国での隔離治療が始まっていることをWHOへ報告し、注意喚起を呼びかけていた)
その初期段階で情報を掴んだ台湾当局がWHOへ情報提供しましたが、WHOはそれを無視しただけでなく、中国に忖度したのか危険性を小さく評価しようとしました。もう少し早く事実関係を世界へ伝え、然るべき対策を打てば、現在起きている世界の災禍はより小さくなっていただろうと思うのは私だけではないでしょう。
台湾はWHOとの関係でいえば、以前はオブザーバーの立場が認められていましたが、現在は中国政府からの外交圧力で閉め出されています。WHOや背後の中国政府からすれば、(なきものにしたい)台湾がCOVID-19の封じ込めに成功しているのが歯痒いのかもしれません。
また、先のWHOからの非難に対し、台湾総統がWHOに謝罪したとのニュースが流れましたが、これはフェイクでした。出所が中国本土からの完全なインチキだと台湾側で確認できたそうな。これから類推すると、先のWHO委員長による台湾非難もフェイク情報に基づくものであると考える方が良さそうです。
誰かがネットで台湾苛めを試みるも、IT技術なら台湾の方が中国より一枚上手みたい。日本でも台湾IT担当相の協力で患者情報の提供サイトができたことを知っている人も多いはず。それはさておき、
4月14日のニューヨークタイムズ誌に出た新聞広告を読むと、WHOというのが誰が(Who)ではなく、WHO(世界保健機関)であることは明らか。続く文章も格調高く、世界中の連帯でCOVID-19を乗り切ろうという内容になっています。一部抜粋すると、
・私たちは発生をどのように抑制し、学校と企業をオープンに保ち、すべての人にマスクを確保したかを共有することにより、国際的な取り組みに貢献・・・
・過去数週間で台湾は世界中の医療専門家をサポートするために1,600万以上の医療用マスクを提供し、COVID-19の最先端の迅速なテストとワクチンについて米国とEUと協力・・・
・誰が台湾を孤立させることができようか? 誰も(できない)。
だって台湾は(世界を)助けるために存在しているのだから。
とし、台湾の矜持を示しています。
それにしてもWHOのふがいないことよ! 中国に忖度して国際的な対応策を遅らせた責任は明らか。いまだに右往左往して言い分が変わるWHOは本当に世界を救うことができるのか。台湾の広告はそのことを世界に訴えた、という意味でも私は拍手。米国は一連の調査が終わるまでWHOに供出金を出さないという動きに出ましたが、中国寄りが際立つWHOに対する圧力としては妥当に思うところです。