こわい無症状の COVID-19

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数日前、例のクルーズ船乗客の受け入れを行った自衛隊中央病院のレポートを読みました。そこには、無症状でもCT検査で肺炎の所見が出ているという厄介な話が詳細に出ていました。こういう無症状な人たちが普通に社会活動すると必然的に感染を広げていきます。高齢者や免疫に問題がある人たちは警戒を怠ると深刻なことになるかもしれません。東京都封鎖という物騒な話もそういう流れで見ると宜なるかな。

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問題の報告は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について」。自衛隊中央病院の新型コロナウイルス感染症対応チーム長 田村格医師(第2内科部長 感染症内科 1等海佐)がまとめたもので、当該病院のサイトにて公開されています。

対象になっているのは、自衛隊中央病院に搬送されてきたダイヤモンドプリンセス号の乗客乗員のうち104名。全例がPCR(咽頭スワブ検査)で新型コロナウイルス陽性です。

患者の平均年齢68歳、男女比はほぼ半々。国籍は17の国と地域、48%に基礎疾患あり。乗客は70才代が中心で、日常動作(ADL)は自立、「総じて元気な高齢者」という印象だったとのこと。

医学的な細かい話は本レポートを参照していただくとして、知っておくべき話がいくつか。まず、自衛隊中央病院に搬送されてきた陽性患者のうち、約4割が無症状、約4割が軽症。つまり合計で8割が無症状か軽症だったということ。軽症というのは「そのほとんどが一般診療の基準に照らせば、医療機関を受診するような病状ではなかった」とのこと。

このことから田村医師は「無症状あるいは医療機関を受診しない程度の軽微な症状のSARS-CoV-2感染者は多数存在する」とし、WHO事務局長による症状の説明は有症状者に限った話であると異を唱えています。

また、無症状および軽症の約半数に胸部CTで肺炎像が観察されたと指摘(田村医師曰く、Silent Pneumonia)。つまり、症状がないのに感染が進行している形跡があり、結果的にその3分の1で症状が増悪したとのこと。厄介なことに、この増悪の進行はゆっくりしているため気づきにくく、高齢者の死亡率上昇に関係している可能性もあるとしています。

本報告書によると、症状が出ていないウイルス感染者が実際にはたくさんいて、その人たち経由でどんどん感染が広がる危険性があるということ。これはきわめて厄介です。どういうことか。

私だってあなただって感染しているかもしれない。でも、無症状なら感染していること自体が自覚できないのですから、普通の生活をします。そうすると、誰かにまた感染を広げていくことになってしまいます。市中感染が進行している現在、街には無症状の感染者がある程度いるでしょう。そうすると数週間でのピークアウトは望めません。

精度の高い迅速な検査方法、それにワクチンや特効薬が出てこない限り、延期したオリンピックだってどうなることやら。とにかく厄介です。