既に市中感染は進行中

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一昨日から東京都の感染者が急増していることを受け、都市封鎖(ロックダウン)などという物騒な施策を云いだした東京都知事。本当のところ、感染者はどの程度増加しているのか。明らかにされている「感染確定数」から実際の感染者数を推定して考えてみましょう。

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出典はジョン・ホプキンス大学サイト

世界各国で新型コロナウイルスの感染が広がってきました(パンデミック)。とくにヨーロッパや米国での感染拡大が著しく、外出規制や商業規制などの対策もとられています。

3月29日現在、米国の感染者数は12万人を超え、新型コロナウイルス感染の発祥地の中国を抜きました。イタリアも9万人を超えて中国の「感染確定数」を抜きました。他にもスペインが約7万人、ドイツ5万人以上、フランス約4万人、英国約2万人、スイス1万人超と凄まじい広がりを見せています。(1日経つと数字が著しく増加するので要注意)(中国は無症状のPCR陽性者を「感染確定数」に入れていませんが、これを勘定に入れるともっと多い数になります)

各国の感染者数や死亡者数をみると国ごとに大きな違いがあります(ジョン・ホプキンス大学の集計)。欧米での感染数はうなぎ登りですが、韓国は1万人手前で踏み留まり、日本にいたっては1693人。とくに日本のデータは世界各国から本当か、何かの間違いではないかと訝しがられているくらいです。

感染者数の相違はおそらくPCR検査数の違い。日本が少ないのは、保健所が発熱+肺炎症状などの発病者と濃厚接触者にPCR検査を限定してきたことが影響しています。3月からは保健所経由でなくても保険扱いでPCR検査が可能という建前になっています。でも、保険扱いのPCR検査といっても自院または外注で検査可能な医療機関が実質上限定されています。外注だと結果判明まで1週間くらいかかる状況も多く、検査が進みません。つまり、日本ではPCR検査を最低限に絞っているため、検査数が少なく陽性者数も少ないということになっている面があります。

では本当のところ、どれくらいの感染者がいるのでしょうか。中国やダイヤモンド・プリンセス号の調査報告からわかったのは、感染しても無症状あるいは軽微な症状の人たちが約8割いるということ。つまり、報告されている感染者数の約5倍程度の人数が実質的な感染者数と考えられます(韓国のように誰でも検査できるような場合は、5倍より少ない倍率と推定されます)。

現在の日本国内の感染確定数は1700名弱ですから(3月29日現在)、実際には約8500名の感染者がいると推測されます。つまり、感染がかなり拡がっていると考えるべきですし、日本がパンデミックから免れていると考えるのは過信でしょう。

(注)死亡者数も国毎にカウント方法が違うので、そのまま比べるのは要注意。それはさておき、

ここ最近になって海外からの帰国者にウイルス陽性の者がぼつぼつ出ています。きちんと検査してみると意外に感染者が多いという実態が顕在化しているのではないでしょうか。ユルユルな検疫をくぐってウイルスは既に市中感染へ移行したので、対応が遅過ぎですが、それでもやらないよりマシでしょう。



問題にすべきは、感染しても症状のない人たち(サイレント・キャリアー)が市中をウロウロしているという現実!。東京都の例でいくと、今になって感染者が急増してきたのではなく、既にウヨウヨいるのが顕在化してきただけではないでしょうか。

愚かな政治家らのオリンピックファーストが首都圏を深刻な状況に追い込んだといっていいのかもしれません。このままでは4月も5月もヤバイ。

東京だけにあらず。もう感染者は全国にウヨウヨ。それ経由で私もあなたも既に感染しているかもしれません。特効薬やワクチンが出来るまでは耐え忍ぶしかない現在、ホンマに厄介。昨日アップした自衛隊中央病院のレポートのショックが未だに続いています。

(蛇足)それにしても、東京都知事の顔を見ると学歴詐称問題、東京オリンピックの武藤事務総長の顔を見るとノーパンしゃぶしゃぶ問題を思い出してしまうのは私だけでしょうか。