ホテル 1部屋 1泊10万円

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日本のホテル代は、国際水準に照らすと割安です。木賃宿はともかく、1泊1万円程度のビジネスホテルが国内には沢山あり、国内需要だけでなく昨今のインバウンド需要にも応えています。でも、この低価格は、富裕層の来日を狙った高級ホテルの進出でだんだん壊れてきました。そうなってくると、価格の背後にある問題について考えざるを得ません。

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ホテルの宿泊代、泊まる方からすれば安い方がいい、とも言えます。ところが、最近新設されるホテルの中には、部屋代だけで1泊10万円くらいのホテルがいろいろ出てきました。京都でいえば、アマン京都パークハイアット京都がまさしくそれ。そんな値段で誰が泊まるんかいな~と思っても、部屋がしっかり埋まっているところを見ると世の中は広いなぁ、お金持ちは多いなぁと思ってしまいます。

パークハイアット京都は2019年秋に開業

そんな中、数日前のニュースサイトでデービッド・アトキンソンさんの書いた「政府「高級ホテルを50カ所」に反対する人の盲点」を読みました。これがなかなか面白い。税金で高級ホテルを増やすのは庶民のことを考えていない、というのが反対する人たちの言い分ですが、果たしてそうなのでしょうか。アトキンソンの答は否。

少子高齢化・人口減少の進む日本で観光産業はこれからの大切な収入源だと主張するアトキンソンさん曰く、日本の観光産業には問題が多い、その1つは高級ホテルがほとんどないこと、国がサポートするのは世界の常識、というわけです。

観光客1人当たりの収入の約半分は飲食と宿泊という話もあります。なのに単価の高いホテルが少ない日本では稼ぐモトが少ない。一方、日本旅館は食事付きなので連泊が難しいという問題があります(連泊時に食事を外すサービスもあるけれど、あまり広まっていません)。

一方で、来日富裕層の話として、日本には超高級ホテルがほとんどないというクレームも。京都を例にとっても、ホテルの部屋が狭い(超?富裕層は100平米くらいが最低基準)、コンシェルジェサービスが貧弱(情報の量・質がもう1つ、多言語対応ができていない)等々が挙げられるみたい。そこで、そういった問題を解消し、世界の富裕層に京都観光を堪能してもらおうという意図が昨今の1部屋1泊10万円ホテルにはあります。

日本のホテル代が安いのは、全国を巡るサラリーマンの出張に対応してきたから。今後日本が世界の観光地として生きていくには、お金をしっかり払ってくれる富裕層に満足してもらえるホテルも必要。高級ホテルは部屋の広さだけでなく、良い人材によるサービスが必須条件。良い人材に相応の給料を払うことが地域活性化にも繋がる、というのがアトキンソンさんの言い分。

すべてのホテルが富裕層対応になる訳ではありませんが、お金に余裕がある人たちにしっかりお金を使ってもらうのはWin-Win。何十年もデフレが当たり前になった日本では「ホテル1部屋1泊10万円」という状況把握は難しいかもしれませんが、安い宿から高いホテルまでいろいろある方が望ましい、と考えると分かりやすい。

さて、あなたならどれくらいがホテル代としてリーズナブルでしょうか。もちろんサービス内容でお値段いろいろ、付加価値をどう評価するかでも話は違ってきます。横並び指向が過ぎると特徴も何もなくなります。少なくとも日本のホテルは横並びで中途半端な内容とアンバランスな価格をもう少し見直してほしいと思う次第。