謎かけ 引っかけ サプライズの食堂YArn
2019/12/21
今年も残すところあと少し。各地で大雨洪水の深刻な被害があった年でしたが、被害の復旧はもとより来年の無事を願っているところです。それはさておき日記を振り返ると、今年は馴染みの温泉旅館やお寿司屋さんだけでなく、初めての道東で美味しいレストランや温泉を楽しみました。また、北陸の小松では驚きのレストランに遭遇。年の瀬にそのお店を紹介します。そのレストランの名前は食堂YArn(ヤーン)。
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石川県小松にある食堂YArn(ヤーン)、2015年オープンの比較的新しいレストランです。東京や大阪、京都ではなく石川県の、それも金沢市ではなく小松市にあるので、ご近所以外は新幹線や飛行機や車を使って行く必要あり。でも、シェフご夫妻どちらもエルブジ出身と聞けば、食いしん坊の興味を惹くはず。
エルブジ(エルブリ)とはカタルーニャにあった伝説のレストラン。私も予約を取ろうと何度かトライしましたが、全てアウト。全世界から予約が入る超人気店でしたが、既に閉店してしまい、もう行けません(残念)。ご興味のある方はエルブジとかフェラン・アドリアでググってみて下さい。
エルブジは閉店しましたが、エルブジ出身のシェフは幸運にも全世界にいます。日本にも数軒、小松の食堂YArnもその1つ。おまけにご夫妻ともどもエルブジ出身というダブルシェフ体制。ちなみに、お二人は地元小松高校の同級生で、お二人一緒に世界各地のレストランで修行したそうな。微笑ましくていいなぁ。また、YArnという名前の由来はレストランのある場所が実家の撚糸工場だったことと、ご夫妻のお名前の頭文字を引っかけたものらしい。
さて肝心のお料理。驚きの連続で感動的だったのですが、ここで詳細に紹介するわけにはいきません。というのも、前もって知ってしまうとこれから行かれる人の驚きや感動が薄れるから。レストラン側もお料理の写真はSNSにはできるだけ出さないで欲しい、出すにしても2~3枚程度にしてほしい、とのことでした。
と言っても何ですので触りだけ。まず最初に出てくるお品書きを見てもどんな料理が出てくるのか、さっぱりわかりません。説明を聞いても何のことだかチンプンカンプンだったり、予想を完全に外されたり。見ても「何これ?」だったり。おまけにサービスの仕方に驚き、食べると尚びっくりの美味しさ!・・・
切り口を変えてみましょう。ここのお料理をとりあえず三語でまとめると、謎かけ、引っかけ、サプライズ(私見です、念のため)。客はついついシェフの思惑に引っかかってしまいます。その驚きとギャップの中で味わう痛快な美味しさ! 選び抜いた地元食材を使って和風のテイストを加えたお料理が素晴らしい。フレンチとかイタリアンあるいは中華、和食というようなジャンル分けとは異次元の世界です。
当日は合わせるお酒をペアリングで頼んだので皿毎に1杯づつ。お料理は10数皿だから10数杯! そんなに沢山飲めないね~と心配していましたが、ほんの少しづつ出てくるので最後まで楽しめました(でも、デザートの時にはノンアルコールに切り替え)。
難をいえば、皿毎の驚きが大きすぎ、それぞれの味わいを記憶に留めにくいこと。こちら側の記憶力に問題があるとも云えます(笑)。
以上の説明だけでは面白くないでしょうから、写真を1枚だけ紹介しましょう。
当日出たデザートの一品ですが、どこにチョコレートがあるのかわかりますか? 「そんなの簡単!」と思った人は多分シェフに「引っかけ」られています。こんな謎かけと引っかけが展開されるのがここの特長です。
とにかくびっくり。心を揺さぶられるのを感動というのなら、食堂YArnでは3時間近く感動の連続で美味しいお食事を堪能しました。こんな食事ができるお店は私にとっては初めて。ここの料理がどう進化していくのか興味津々で、次回3月に友人夫妻との会食が楽しみです。