ラ・リスト 2020

.Travel & Taste

年末になるとレストランの格付がいろいろ出てきます。ミシュランもそうだし、今回取り上げるLa Liste(以下、ラ・リスト)もその1つ。ミシュランはフランスのタイヤ会社によるものですが、こちらはフランス系企業がスポンサーで、フランス政府がサポートしていると云われているもの。本家はともかくラ・リストはもう少し評価を一般化しようと目論まれたものですが、その成果は如何。

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ラ・リストが登場したのは4年前だったでしょうか(不確か)。ミシュランやゴーミヨー、あるいはサンペレグリノがスポンサードする「世界のベストレストラン 50」等々いろんな評価がある中、独自の視点で世界のレストランをランク付けしようというものです(注記)。

ラ・リストでは世界中のレストランの内上位1000店を挙げています(リストアップするからラ・リスト)。一番多いのは日本のレストラン、次が中国(中国には台湾や香港マカオも含む)、そしてフランスと、フランス系評価とは思えない太っ腹にちょっと感心しますが、それはさておき、

このリストを眺めると、私たち夫婦はギィ・サボア〔パリ)、アルページュ(パリ)、ランブロワジー(パリ)ミラジュール(マントン)、ラ・カランドレ(パドヴァ)、プレカトラン(パリ)レジス&ジャック・マルコン(サン・ボネ・ル・フロワ)とトップ30の内5つ、トップ50までなら7軒訪問しています。つくづく自分は運がいい、幸せ者だなぁ、と思ったのが第一印象。

食通ならどれも有名な処で、この内ギィ・サボアとミラジュールはこれから伸びるだろうと推測して訪問したら、いつのまにか最高峰になっていたのが感慨深い。

ラ・リストをずっと最後まで眺めていくと、自分で行った処でいえば、ラムロワーズ(シャニー)ピアッツァ・ドゥオモ(アルバ)、日本では美山荘(京都)他京都の料亭等が数軒リストアップされていました。でも一方で、昨年まで載っていたお寿司屋さんや北陸屈指の料亭が外れてしまったのは至極残念。

2つ目の印象はエルブジ系のレストランの評価が低いこと。この辺が「世界のベストレストラン 50」とは異なる、フランスの意地なのかもしれません(私的見解です、念のため)。おかげで、グローバル基準でもトップクラスな、エルブジ出身のご夫婦が紡ぎ出す小松の某レストランがフランス系評価陣の眼に止まっていないのがいいのか悪いのか(苦笑)。

3つ目。日本の美味しい場所はレストランだけに限りません。ラ・リストではその実情を拾い上げていません。料亭やレストランはもちろんですが、日本では旅館のお食事がかなりいい線いっているのをフランス系の評価人はご存じないのでしょうか。

たとえば、京都の柊屋さん始め有名旅館のお食事は祇園の料亭料理に全く引けをとりません。私がときどき訪れる温泉旅館のお料理も特筆モノ。でも、フランス人的感覚では宿とレストランは別ですから、どうしても旅館料理は評価が下がります。例外的なのは美山荘ですが、彼らの感覚ではオーベルジュ扱いなのでしょう(つまりレストランに宿がついているという認識)。

ラ・リストには料理は良くてもサービスがもう1つ2つのところもちらほら。私が云うまでもなく、美味しいのはここにリストアップされているお店以外にたくさん。

どの評価にもコマーシャルな意図が裏にあると考え、決して絶対視することなく読み取って下さい。むしろ、なぜこのレストランが・・・というような不思議なケースでは誰の肝いりなのか、それとも何か裏の意図があるのか等々と考える方が面白いかもしれません。

ラ・リストにしてもミシュランにしても1つの参考です。他人や世間の評価は評価として、合致しているならそんなもんかぁ〜ですし、自分がこれゾと思っているのが載っていなくても、ふふふ世間は知らんなぁ(笑)で良いのではないかと思う次第。

(注記)
ラ・リストの評価方法
ミシュラン、ゴー・ミヨ、NYタイムズなど160か国を超す600以上の信頼性の高い出版物による世界の一流レストランのレビューを巨大なデータベースに集積、ガイドの信頼性も加味し、ネットでのカスタマーレビューも組み入れて、独自のアルゴリズムにより、100点方式で評価した。