ベトナム旅行その3 GIGAGO

.Travel & Taste vietnam

海外旅行で用意するものの二つ目、通信手段の確保。これがここ20年で大きく様変わり。以前はこのためにかなりの手間と時間を費やしていましたが、社会のデジタル化で随分簡単になってきました。私自身の経験を振り返りながら今回のベトナムで採用したeSIMについて紹介します。

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その昔、海外ではホテルの電話線に通信機器を繋いでメールを送受信。それも1990年代の音声カプラを知っている人はネット化石時代の絶滅種。手軽な携帯機器が皆無だった時代には、重い携帯用パソコンを持ち歩いて仕事をしていたのですから隔世の感あり。

それがiPhoneなどの登場で一変します。フランス旅行(2010年)ではiPhone4で契約していたSoftBankの海外定額を使ったことがあります。帰国して123,638円という料金請求が上がってきた時はびっくりしましたが、「海外パケットし放題」サービスで調整され、実質的には使い放題の上限である1日1480円x日数分で収まりました。また当時はホテルのWiFiが有料というケースが多く、1日10€とか請求されたこともありました。

その後2011年のイタリアではモバイルルーターに現地SIMを入れましたが、2012年以降はSIMフリー機器に現地SIMをインストール(2012年のタイ2014年のフランス2015年のオーストリア)。というのも、日本でSIMロックがかかっていない携帯機器が販売されるようになったからです(正式には2013年〜)。

こうやって記憶を辿れば、通信機器をめぐる環境は、速度も便利さも随分変わってきたことがわかります。そして今回のeSIMは物理SIMにあらず、デジタル的に通信機器の中に通信機能をインストールする仕組みです。数年前から導入されたのでご存じの方は多いはず。台風やコロナ禍で海外旅行から遠ざかっていた私にとって5年振りの洋行だったので、eSIMの威力に大きな変化を感じました。

現在eSIMを提供している会社や代理店はそれぞれの旅行先でたくさんありますから、どれを選んだら良いのか迷います。細かいことを言うといろいろありますが、渡航日数、通信量、リアル電話番号の有無、価格を総合的に判断して、私が今回選んだのはGIGAGOです。

選んだ根拠は、現地ベトナムの電話番号を提供するプランがあったことと価格がリーズナブルだったこと。15日間使うとそれなりの値段になる会社が多い中、20ドル弱というのはなかなかがんばっているなぁと思ったからです。

なぜ電話番号がいる(と考えた)のか。空港とホテル間の送迎の連絡手段として電話番号かWhatsAppのIDを要求されたのですが、どちらも現地の電話番号が要ると思い込んでいたから。でも結果的に言えば、WhatsAppは日本の電話番号で問題ありませんでした(注記)。

eSIMはまず日本でインストールしておき、現地でアクティベートするというもの。GIGAGOの場合はSMSで特定のアドレスに認識コードを送るという手順が必要でした。空港にはWiFiが飛んでいるので、そこで手続きするのが簡単でしょうか。これはこれで難しくないのですが、問題はiPadでした。

iPadではSMSが使えないのでGIGAGOではアクティベートができません(iPhone経由で実行してもiPadとして認識できない)。iPhone,iPad対応とうたっておきながら、この話は説明書の隅っこに記載してあるだけで明確に説明されていなかったので当初困惑しました。でも、サポートにメールしてサポート側でアクティベートしてもらうことで解決しました。この点要注意。他の会社でiPad対応が省かれているのは、このことが関係しているのでしょう(きっと)。

さて、音声用の電話番号が要るかどうか。実際のところ、音声通話が使えるからといって、こちらベトナム語は話せません。現地の電話番号があっても、日本語や英語で会話できるとは限らないのですから、旅行者の私には音声用の電話番号は過剰スペックでした。GRABもWhatsAppもデータ回線が使えるなら問題ないので次回はデータ通信だけの契約にしようと考えているところです。

それにしても、通信手段の確保で時間を費やし、あたふたしていた時代は過ぎ去ってしまいました。デジタル社会の変化といえばその通りですが、旅行の楽しみが何だか少し減ったような気がするのは私だけでしょうか。

今年の桜は終盤か(2024年4月10日 @龍安寺駐車場)

(注記)こちら基本的にSNSはしないのですが、旅行先で必要なので一時的に有効化。WhatsAppの場合、インストール時に実際使っている電話番号で認証しますので日本でインストールするとIDが日本の電話番号になります。これはいわば数字表記のIDみたいなもの。海外でもそのまま有効なので、海外の電話番号でインストールし直す必要はありません。今回日本とベトナム双方の電話番号で試しましたが、日本の番号をIDにしたもので問題ありませんでした。

ちなみに、LINEは韓国と日本で使われていますが、東南アジアの他の国では使い物になりません。使えるという人もいますが、それはおそらく国際ローミング(コスト大)。だいいち個人データが韓国に筒抜けというのが何度も報道されているのに、日本の自治体や会社がLINEを推奨しているのは情弱日本を象徴しているのではないでしょうか。