ラムロワーズ その1 Lameloise
2010/10/06
サンボネ・ル・フロワの次の目的地はボーヌ(Beaune)、ブルゴーニュの中心です。今回の旅行はここでゆっくりしようというわけ。とはいっても、最高級の美味しいものも食したい。そこで選んだのが、ボーヌから鉄道で駅1つ南のシャニー(Chagny)にある3つ☆のホテル・レストラン、ラムロワーズ。ここもなかなか愉しめました。
*
ボーヌ駅からシャニー駅までは鉄道で1駅約6分。タクシーを使えば約40€ですが、鉄道なら在来線TERで1人3.3€。街の雰囲気を足で確かめたいということで、往きは鉄道を選択。夕方の通勤帰り客に混じって目的駅に到着したら、あんらまぁ、駅前はお店が1軒もない。こんな辺鄙で寂しい処に3つ☆レストランがあるのかなあ~と少し不安になります。
駅から街の中心街まで歩くこと約10分、中心街はさすがに商店やレストランが軒を並べ、人通りも増え、賑やかな雰囲気になってきました。その一画を曲がると、街区の中程付近に瀟洒な構えの立派な邸宅風の館があり、壁にLAMELOISEの文字。ああ、あそこが今晩の目的地か。
予約は19:30。館に入り、クロークで手荷物と連れ合いの上着を預けると、レストランに入りますか?それともサロンに行かれますか?と問われたので、まずはゆっくりメニューを考えようとサロンを選択。レストランは1F、館の上階は宿泊客用のホテルになっており、サロンはその間の中2Fといった空間にありました。
ここでもまずは食前酒(アペリティフ)。普通のシャンパンでもと思っていたら、お店の人から(風格のある紳士で、お店のマネージャー級かなぁ)、ブルゴーニュ風アペリティフはどうかとのアドヴァイス。「何それ?」と尋ねるとキール・ロワイヤルのようなものとのこと。カシスはこちらの特産だし、シャンペンで割るとキール・ロワイヤルだけど、どうやらそれを地元のクレマン(発泡酒)に替えたものらしい。「ほんじゃ、それ」的なノリで注文。今日は軽快です、私。
カシスの甘さを感じるシャキっとしたアペリティフの味わいを楽しみながら、お料理選びを開始。ここのメニューもだいたい予習していましたが、実際に出てきたメニューはHPのメニューと比べ一部変更されていました。つまり、読めない・理解できない料理があるということです。
ここは、DÉGUSTATIONと L’INSTANTのコースメニューとアラカルトの構成です。チーズとデザートがついたDÉGUSTATIONでも150€(2010秋)ですから、パリの3つ☆に比べると、お値段が半分~三分の二ほどで、かなり割安です。
私たち夫婦は食が細くて最後まで続かない可能性もあるので、それぞれアラカルトから2皿を選ぶことにしました。ただ、予習していたのと少しメニュー内容が変わっているし、さて何にしようかな。オマールがいいか、お肉は子羊にするかどうか、いやトリでいこうかな…。
そうこう考えていると、アミューズブーシュがテーブルに届けられました。持ってきたのは日本人女性! 聞けば、彼女Sさんはここラムロワーズに修行に来ているのだそうです。キッチンにも3人の日本人が入っているとのこと。いろいろ噂には聞いていましたが、フレンチ業界における日本人若者の活躍は頼もしいものがありますねぇ。私、国粋主義者ではないけれど、日本人がフランスで(それもパリ以外で)健気にがんばっているのは何だか嬉しい。挫けずがんばってね。
そのSさんのおかげで、フランス語が読めずに不明だったお料理の内容が判明し、1皿目は2人ともオマールのミルフィーユ、2皿目は連れ合いはアンコウのクロスティラント、私はブレス産チキンのロティを選ぶことになりました。
お料理が決まると、次はワイン。ソムリエが分厚いワインリストを持ってきます。パラパラめくるとブルゴーニュ産ワインが中心で、べらぼうな値段の「お化粧ワイン」はあまり見立ちません。要するに実直な、お食事対応のリストで、お店の堅実な姿勢が窺えます。
あれこれ悩んでいると、ソムリエが来てくれて、私たちのお料理であれば白ワイン1本で最後まで通せるので、これはどうですかとシャサーニュ・モンラッシュのプルミエ級を1つアドヴァイスしてくれました。
Chassagne Montrachet Clos Chateau Maltroya 2006 120€
私としてはもっと有名な作り手のワインでもいいと思ったけど(その分、値も張るが)、食事に合わなかったらワヤです。ソムリエの助言を聞かずに失敗した過去の痛い経験もあり、ソムリエを信頼するのが得策だと思っているので、ここでも素直に従うことにしました。
さてワインも決まり、サロンからレストランのテーブルへ移動。お料理とお酒を決めると一段落。というか、ひと仕事終えた気分(苦笑)。でも一息ついたら、食いしん坊の本性がウズウズし始め、今日はどんな美味しさが待っているのやらと思うのはいつもの通りです。(続く)