幸せの三段重

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新年早々大地震や飛行機事故・・・と先行き不安な出来事多々。被災された方々にお悔やみ申し上げます。
そんな中、昨年末から新年にかけて樺沢紫苑さんの『精神科医が教える 幸せの授業』(飛鳥新社 2023)を読みました。「3つの脳内物質を知れば、幸せはつくれる」と本の帯にあり、最初は何か怪しげな雰囲気を感じましたが、中身は真っ当で、特に「幸せの三段重」の箇所はなるほどなるほどと納得です。

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樺沢紫苑『精神科医が教える 幸せの授業』(飛鳥新社 2023)

誰しも幸せになりたいと思うはず。だから、どうしたら幸せになれるのか知りたい、というのが人情というもの。たとえばインターネットで「しあわせ」とか「幸福」という言葉が含まれる本のタイトルを検索すると数万件がヒットしますが、みんなの関心が高いことの反映でしょう。

どんな時に幸せを感じるか、何をすれば幸せな気分になるのか・・・それは人それぞれ。高級車や腕時計、あるいは高価な衣服やアクセサリーを買う時使う時に幸せを感じる人もいるだろうし、好きな人と一緒にいる時、美味しい食事を楽しむ時、美しい景色や得難い機会に遭遇した時、一仕事終えてゆっくり時間を楽しむ時など、どれも幸せなひとときではないでしょうか。

ところで、その幸せとはある種の脳内物質が関与する生理的メカニズムであることが過去の研究で明らかになっています。それがこの本でも触れられているセロトニン、オキシトシン、ドーパミンの3つ。樺沢さんの説明で面白いのはその優先順位を明らかにして「幸せの三段重」理論を展開し、どうやったら幸福感を認識できるのかを具体的に迫ったところ。

 

まず、心と体の「健康」は幸福なことだと自覚することが大事(セロトニン的幸福)。心と体を健康にする具体的な方法として、しっかり眠ること、朝散歩(朝日を浴びる+リズム運動)、咀嚼、寝る前2時間のリラックス、ゆったり入浴など、やろうと思えばやれることを列挙してくれています。

上図は樺沢本から引用

二つ目は、「つながり」の幸福を自覚すること(オキシトシン的幸福)。具体的な方法は「ありがとう」と言ったり言われたりすること。家族やパートナーを含め、合計5~6人と親しく繋がっていたら充分。ちなみにペットやガーデニングもオキシトシン的幸福です。

3つ目は「成功」「お金」の幸福(ドーパミン的幸福)。この幸福は、慣れることで減ってしまい「もっと、もっと」となりやすく、依存症に陥ることもあるので要注意。それを回避するための具体的な方法は、何らかの「制限」を設けること。そして、ドーパミン的幸福を「ありがとう」という感謝の気持ちと組み合わせると幸福が長続きするとのこと。なるほど~。

本では対話形式で漫画や図を交えながらわかりやすく解説していますが、正直言ってこの本を読んで気がかりなことが一つ。末期癌の人とか重大な疾患で体がつらい人、つまり幸福感の土台となる健康状態に難がある場合、どう考えたら良いのでしょうか? 病気でもできるだけポジティブに考えるということなのでしょうか? そこが気になりました。

上図は樺沢本から引用

かくいう私も心疾患を経て、何をするにしても健康が第一という考え方に気付いた一人です。それまで本当のところはちっとも理解していませんでした。一生健康なのが一番ですが、誰しも病気になる可能性はあるし、今年の元旦のように突然大地震が起きて甚大な健康被害生活被害に繋がることだってあり得えます。だとすると、私たちが日々享受している幸福とはたまたまなのだと考えるなら、運が良いことに感謝して毎日を過ごすことが大切だ等々、いろいろ考えさせられること多しの新年です。