ベトナム旅行その6 コーヒー

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だんだん薄れてしまいそうなベトナム旅行の記憶。前回取り上げたのはビールでしたが、コーヒーの方もベトナムの今を象徴する感じで、質的量的にどんどん向上中。コーヒー好きな人たちには要チェックな国になってきました。ということで取り上げるのはコーヒー。今回のベトナム旅行の目的の1つがベトナムコーヒー体験です。

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ビル内のほとんどの店舗がカフェという、ホーチミンにあるカフェビル。

まず、統計や豆についての基礎知識を整理しておきましょう。コーヒーの産地といえば、ブラジルをはじめ中南米やアフリカ諸国を頭に浮かべる人が多いでしょうが、生産量でいえば現在ベトナムが世界第2位。1位はブラジルですが、近年の気候変動で生産量が落ちてきているので、ベトナムが世界最大の生産国になる未来もありそうです。

コーヒー豆の種類を大きく分けると、ロブスタ種とアラビカ種。前者はインスタントコーヒーや業務用コーヒー、あるいは関連飲料に使われ、後者は香りや味わいを重視する喫茶店などで採用されています。飲み比べれば違いはわかりますが、値段は後者が上。でも、人の好みはいろいろです。

ベトナムでは従来安価なロブスタ種が栽培されてきましたが、最近はアラビカ種やハイクラスなロブスタ種も高地で栽培されています。日本ではほとんど話題にならないので知っている人は少ないかもしれません。


ハノイのコーヒー教室で出会ったベトナム最高級のコーヒー豆。

ところで1日に3~4杯はコーヒーを飲む私がベトナムのコーヒーを知ったのは20年位前のこと。邱永漢さん(故人)が「これからはベトナムのコーヒーが伸びそうだ」と自身のblogに書かれていたのが最初でした。視察団まで組織してベトナム参りをしようという熱意に驚きましたが、その後の動きをみると邱氏の読み通り。

さて、ベトナムでは以前はロブスタ種が多かったせいか、特徴的な器具「カフェ・フィン」を使った抽出方法が独特で、ミルクではなく練乳を入れるというのがポピュラーです。

コップの上に載せているのがドリップ用のカフェ・フィン。

でも最近ではグローバル化が進み、アラビカ種の栽培がベトナムでも増えてきたせいか、練乳や砂糖なしで飲む人が増えているような感じ。カフェの店舗数は日本以上でしょうか。スターバックス風のカフェチェーン店あり、拘りのカフェあり、でいろんな種類のコーヒーが楽しめます。

種類といえば、日本ではカフェオレ、カフェラテ、エスプレッソ程度のバリエーションですが、ベトナムではエッグコーヒー、ココナッツコーヒー、アボカドコーヒー等々、そんなのホンマに飲めるんかいな〜というような代物まであります。今回いろいろトライしてみたら、それぞれ面白く楽しめました。

とくにエッグコーヒーはいい。卵とクリームを泡立てシナモンで味付け、コーヒーに合わせたものです。新鮮なミルクが手に入らなかった時代にミルクの代わりに卵を使って考案されたものとのことですが、コーヒーというよりスイーツ、あるいは栄養ドリンクという感じ。私は好みですね、これ。低炭水化物を狙うなら砂糖なしで、あるいはエリスリトールで作ればオッケイ。

右がエッグコーヒー。シナモンを散らしていますが、見ただけでは卵な感じはなし。

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コーヒーといっても種類や産地はいろいろ、香りも違えば味わいもそれぞれ。日本では40年近く深煎りが一般的でしたが、今世紀になって浅煎り中煎りを好む若い層が増えてきました。従来の深煎りコーヒーに比べると濃さが足りない、酸味が多いなどと高齢層が嫌う理由もわからないでもありません。

かくいう私も最初は浅煎り系のコーヒーには抵抗がありましたが、だんだん慣れて今では深煎りのコーヒーを頼むことはなくなりました。というのも、浅煎りの方が香りがいろいろ楽しめて味わいも豊かだから。香りの違いがわかるワイン好きなら是非一度トライしてみたらどうでしょうか。

50年近くかかった日本のコーヒーの変遷が、ベトナムではわずか10数年で展開されているような気がして、そこにもベトナムの勢いというか、急激な現代化・グローバル化を感じた次第です。