内水 あるいは内水氾濫

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昨日の報道で「内水氾濫」というのを聞きました。河川の水位が上がり、そこに流れ込む下水や河川水が逆流する現象を指しているのですが、私の学生時代には「内水」。専門用語が変わったのでしょうか。そして、これも洪水ハザードマップの想定に関わる話。

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手元の辞典を開くと、内水 inner drainage とは「・・・堤防を築造すると洪水の氾濫は防げるが、堤内地に降った雨は堤防により河川に流れ出ることを妨げられて堤防沿いの窪地に集まり湛水する」(図解土木用語辞典 日刊工業社 1969)とありました。つまり土木用語では「内水」です。まぁ、用語の定義は別にして・・・。

一般的には堤防を作ればもう安心、大丈夫と思うのではないでしょうか。背丈の高い堤防なら尚更そういう思いを抱かせますが、これが今回崩れてしまいました。つまり堤防で河川の高水位をかわす一方で、内水による被害を被る危険性があるのです。

この内水を防ぐには堤防内部からポンプなどを使って河川へ排水するか、あるいは大容量の貯水池を設けるという手があります。びわ湖や大河川の一部にはそういう設備がある所もありますが、そんな排水設備はほとんどないのが普通です。

さて、昨日紹介した洪水ハザードマップをもう一度見てみましょう。場所は神奈川川崎市の武蔵小杉。多摩川沿いに3メートル以上の浸水想定でピンク色になっているのがわかります。対岸の田園調布側も河川に近い部分がピンク色。こちらも今回湛水しています。堤防があるのになぜと思った人もいるかもしれませんが、これが内水の想定です。

もう1つ。二子玉川で一部堤防が作られていなかったために浸水被害が出たとされていますが、堤防があったとしても武蔵小杉のように内水は起きていたのではないでしょうか。また堤防を溢水してしまうと堤防上部を簡単に破壊するので被害は余計に拡大します(千曲川がその一例)。



先日ダムや堤防だけで安心はできないという話をしました。ダムや堤防が効果を持つのは想定された雨量まで。それを超えると深刻な結果になるため、ダムは緊急放流で回避します。でも河川の堤防ではそれもできません。過去にはなかった想定外の降雨が頻発する現在、単純なダム・堤防礼賛は戒めるべきです。そういう観点で洪水ハザードマップを見るとまた違う景色が見えてくるのではないでしょうか。