Mさんメモに怯える人たち

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関電の会長社長がどうやら辞任する方向らしい。このままでは原発再稼働が難しいという事情を考慮して誰かが圧力をかけたのか。辞任だったら退職金が出るので免職が相当だと私は考えますが、どうでしょうか。それとも会社が株主代表訴訟を起こして会長以下金品受取者に被害賠償請求するのかしらん。

さて、今回の関電収賄事件は既に斎藤真氏が「関西電力暗殺指令」(2011)で描き出した世界。多くのメディア関係者もこの本に注目したらしく、「越前クラゲ」の逸話もちらほら出回り始めています。

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改めて斎藤氏の本を読み返すとなかなか興味深い。8年前は暗殺指令の方ばかり関心が向いていましたが、関電が高浜町を手玉にとる様や、地元のMさん(元助役)などが見返り利権を確保しながら関電との一体化を構築していく経緯がありありと書かれていて、既に斎藤氏は今日を予告していたのでしょうか。

まず、越前クラゲ。関電原発の冷却水取り入れ口には越前クラゲが群がるそうな。そうすると詰まって海水が取り入れにくいので排除しなければなりません。その仕事が地元に回ってきます。ところが、採るな・沖に放て、そうすれば何度でも仕事ができると地元会社に命じたのがMさん(森山某)だったという逸話。ワル知恵の回る人ですな。出典は斎藤真氏の「関西電力暗殺指令」(宝島社)。

先日来関電会長社長らは元助役を悪者に仕立てあげて逃げを図っていますが、この本では話が逆。むしろ関電の方が高浜町という小さな町を支配下に置くため、あの手この手で籠絡していく様が克明に紹介されています。その任を担ったのが内藤副社長とその後釜の若狭支社副所長(当時)。そのカウンターパートが元助役の森山氏(本ではMさん)。

晩年に関電の闇献金を暴露した内藤千百里氏は、関電を大企業に育て上げた芦原義重氏の女婿で副社長。その内藤さんの息子が関電と高浜町長暗殺計画を企てた者たちとの仲介役というのですから、怖くなってきます。

また、関電側が高浜町をタラし込む方法は議員の過半数を抱き込むことだったそうな。本では「町をうちのもんにしたらええやないか」(うちとは関電のこと)で、いわば民主主義の悪用です。選挙用の資金なんてどうせ電気料金だという下りには唖然。

ところで、今年3月に死亡した森山氏は金品を渡した相手の名前と内容をメモに控えていたらしい(昨年国税が押収)。これは今後時限爆弾のように効いてきます。

このメモは関電幹部への追徴課税に繋がりましたが、そこにあったのは関電幹部だけだったのか。

ここ数日福井県の役人や関電関連会社、はたまた元関電社員や警察関係者まで私も貰っていた等と表明し始めました。おそらくメディアなどで先に報じられる前に自白しようというのでしょう。マスコミ関係者を含め、もっともっと森山メモに怯えて下さい。逃れる方法は1つ、告解のみ。

でも、一番怯えているのは政治家ではないでしょうか。毒饅頭を配りまくった森山氏が政治家やマスコミとの関係は一切なかったと考える方が難しい。実際のところ、森山氏と昵懇だった関電元副社長の内藤千百里氏が歴代総理に献金(裏金)をしていたと告白していますが、この原資こそ森山メモの中にあるのではないかと考える次第。

5年前、こんな「闇の先に光はありません」と書きましたが、幸い光が当たり始めました。ドス黒い闇にもっと光を!