チョコレートの誤解

.Books&DVD… .Lowcarboあるいは糖質制限

ふだん私たちが食べるチョコレート、いくら表示法令上では「チョコレート」でも、市販のほとんどの主成分は砂糖です。そんな状況で、つまり、そんな事実を知らず、はたしてチョコレートが美味しいとか云えるのかどうか。もちろん、カカオ成分が70%以上なら、その味わいは砂糖主成分のとは違いますが、それは美味しいかどうか、これもまた難しい。
・・・

先日奇妙な話をニュースで読みました。曰く、「ゴディバと森永のチョコをブラインドで比べたら、好みはほぼニ分、わずかに森永の方が美味しいという人の方が多かった」とのこと(東洋経済オンライン 2017/11/10 )。値段差は約8倍ですから、ブランド効果で消費者の舌はおかしくなっていないかという趣旨みたい。でも、この比較はカカオ味のチョコを比較したものでなく、どちらの砂糖がお好みかという話にしか過ぎません。

ゴディバの「カレ ミルク」

論より証拠。2つのチョコのパッケージ裏面の成分表をご覧下さい。まずゴディバの「カレ・ミルク」は右の通り。砂糖が第一成分で、全粉乳、ココアバター、カカオマス・・・と続きます(右)。

一方、森永の「カレ・ド・ショコラ/ フレンチミルク」も第一成分は同じく砂糖で、ココアバター、カカオマス、脱脂粉乳、全粉乳、バターオイルとなっています(下)。

ちなみにカレというのは正方形のこと。チョコの形を指しています。


森永製の「カレ・ド・ショコラ / フレンチミルク」

どちらも第一成分は砂糖です。成分表は使用量が多い順に表記しますから、どちらも砂糖が一番多く含まれています。その砂糖にカカオが混ぜられ、私たちが知るチョコレートというモノの味になっているわけ。したがって、先の比較はどちらの砂糖が好みかという話でしかないのです。

じゃカカオ100%のモノならいいのか。以前触れたように、これは苦味が強くて食べれたものじゃありません。そういう事情やコスト的な問題を考慮し、チョコメーカーは砂糖の甘さを基本にして美味しさを作り出しているといってよいでしょう。

さてさて、砂糖主成分のチョコに慣れてしまうのがいいのかどうか。チョコレートというのであればせめて、カカオ成分が第一成分に載るようなモノであって欲しい、それが私の希望です。そうでないと食べているのが砂糖なのか、それともカカオなのか曖昧になってしまいます。

チョコレートの真実 [DIPシリーズ]

(追記)私は糖質制限の身ゆえ、砂糖入りのチョコは原則禁忌。だから砂糖の替わりにエリスリトールを使ったものを選ぶようにしています。それが入手できない時は、絶対量が少なければ血糖値上昇の影響は少ないので2〜3g程度つまり小片1つ2つならオッケイということにしています。後日チョコによる血糖値の上昇についてレポート(するかも)。

(追記2)チョコレートを巡る話は砂糖の問題だけではありません。カカオの栽培をめぐる先進国の傲慢な搾取や流通経路の複雑さ、そんな話がいっぱい。右の本の原題はダブルミーニング、そんな苦い問題を暴いています。ちなみに、この本は友人が訳したものです。